2011年01月19日

成人T細胞白血病に有効な分子標的薬を協和発酵キリンが開発

ATLに新治療薬 治験、半数で効果 春に承認申請

 九州だけで毎年約500人が死亡している血液がん・成人T細胞白血病(ATL)の治療に有効性がある新薬を製薬会社「協和発酵キリン」(東京)が開発、2011年春、厚生労働省に製造、販売の承認申請をする。臨床試験では患者の半数で新薬の効果が確認された。現在、有効な治療薬はなく、この治験結果にATLの原因ウイルスHTLV1総合対策を検討する官邸の特命チームは注目している。厚労省は審査期間を短縮する特例措置を取る方針。早期に承認されれば、12年初頭にも発売される。

 同社が開発した新薬は「抗CCR4抗体KW−0761」。がん化した細胞だけを狙い撃つ「分子標的薬」(抗体医薬)としては初のATL治療薬。同社独自の技術で、ATLを引き起こすがん細胞を攻撃する能力が高い抗体を人工的につくり、点滴で投与する。

 正常な細胞まで破壊してしまう従来の抗がん剤に比べ、副作用の心配が少ないのも特長という。

 昨年末に治験結果をまとめた名古屋市立大大学院の石田高司講師(免疫内科学)によると、治験はATL患者のうち、抗がん剤治療後に症状が再び悪化した26人を対象に実施。新薬を1週間間隔で計8回投与した。

 その結果、半数の13人に血液中のがん細胞が減ったり、リンパ節の腫瘍が縮小したりするなどの効果が確認され、うち8人は白血病細胞や腫瘍が消滅した。副作用は発熱や発疹などがあったが、いずれも対症療法で改善できるレベルだった。

 ATL患者の受診医療施設として国内有数の今村病院分院(鹿児島市)の宇都宮與(あたえ)院長は「新薬の治験で有効率50%は極めて珍しい高さ。抗がん剤と併用すればさらに治療効果が高まるだろう。患者は新薬を待ち望んでおり、少しでも早く医療現場に普及させてほしい」と話す。

 官邸特命チームのメンバーである外山千也厚労省健康局長は「治験結果は好成績であり注目している」と話している。

▼ATL

 主に母乳を介して感染するウイルスHTLV1が原因の難治性血液がん。国内感染者は100万人以上で九州・沖縄在住者が約半数を占める。発症すると血液中で白血病細胞が増殖し、免疫機能が低下したり、リンパ節に腫瘍ができたりする。潜伏期間が平均55年と長く、感染者の生涯発症率は約5%と低いが、有効な治療法は未確立。毎年約千人が亡くなっている。国は1991年に九州などの「風土病」と判断し、全国対策を放置してきたが、菅直人首相が2010年9月、当時の判断ミスを認めて患者団体代表らに謝罪。12月に公費による全妊婦検査や治療法開発推進などの総合対策を発表した。

 成人T細胞白血病(ATL)は発症後の平均生存期間が半年から1年と短い。高齢で発症することが多いため、治療に有効とされる骨髄・臍帯血移植が体力的に難しい患者が大半を占める。新薬開発の期待は大きかった。

 原因ウイルスHTLV1の母子感染防止策として、公費による妊婦検診時の抗体検査が2011年春までに全国で始まる。感染が判明した場合、授乳制限で次世代の感染はほぼ防げるが、母親は自らの発症の不安におびえ続けることになる。「有効な治療法がない現時点では心のケアにも限界がある」との指摘もあった。新薬が厚生労働省に承認されれば、患者や全国に100万人以上いるとされる感染者にとって朗報となる。

 ただ、治験では新薬の効果が認められなかった患者もいた。ATLに詳しい今村病院分院(鹿児島市)の宇都宮與院長は「ATLはいろいろなタイプがある。治療薬の選択肢はできるだけ多い方がいい」と、さらなる新薬開発の必要性を説く。

 菅直人首相は昨年12月、治療法開発に向け11年度の研究予算を従来の4倍以上で、エイズや肝炎並みの10億円に増額すると表明した。聖マリアンナ医科大学難病治療研究センター(川崎市)の山野嘉久准教授は「国の積極姿勢が示されれば、優秀な研究者が集まり、治療薬開発は加速する」と指摘する。

 今回の新薬を突破口として、ATLや脊髄症(HAM)などのHTLV1関連疾患制圧へ、今年が「研究推進元年」となることを期待したい。



 血液のがんには抗がん剤・分子標的薬がかなり効くタイプのものが多いとされています。

 昔は九州地方に多いとされていましたが、最近は全国的に広がっているようです。手術が出来ない分、こういう薬の開発が急がれます。


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posted by さじ at 02:24 | Comment(2) | TrackBack(0) | がん
この記事へのコメント
繋がれた生命に及び、人々の選択肢により経験と未来空間的な自由なる時間によって所有している事に気付いた時に、生きてるって素晴らしいと実感出来る、生かされた命並びに生命体に真の喜びを持たす、新薬の開発は私達の人生の柱を果たす未来を托す命を繋ぐ明日への未来に希望と言う光を見て行く事が出来る
Posted by みか at 2011年01月28日 21:28
私の母が今年4月に成人T細胞白血病を発症しました。今68才です。2か月入院して抗がん剤治療をしましたが、ATL細胞の増殖を止められず、これ以上入院させても結果は同じということで、退院し、今は月1回隔日5日の飲み薬で抑えいています。
新薬が出るまで持つかどうか分かりませんと、医師には言われました。
本人は飲み薬でもいいくらいに良くなったのだと信じています。
早くこの新薬が出ることを祈ってやみません。父もいてもたってもいられず、厚生労働省にも電話してみましたが、そういう一個人の電話はおつなぎ出来ないとのこと。
一日でも早く新薬が出てほしいと期待しています。
Posted by まみ at 2011年10月02日 17:48
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