東京大学三崎臨海実験所(三浦市三崎町小網代)の赤坂甲治所長(59)らのグループが、これまで治療法がないとされてきた難治疾病のメカニズムを解明し、日本臨床分子形態学会の論文賞を受賞した。ウニをモデルに研究を進め、病気の仕組みを解き明かした赤坂所長は「海産動物を用いた基礎研究が、医学にも波及効果をもたらすことを示すことができた。従来の概念を覆す発見であり、治療法の開発にもつながる」と話している。
受賞論文は、杏林大学医学部とニッピ・バイオマトリックス研究所、広島大学との共同研究で、遺伝病のムコ多糖症と異染性白質ジストロフィー症のメカニズムを明かしたとされる。
赤坂所長は30年以上にわたり、動物の体や組織の形作りの仕組みの研究を継続してきた。特に進化的に人間に近く、実験に適したウニに注目。人間とウニはほぼ同じ遺伝子をもつため、ウニの遺伝子の働きが分かれば、人間の生命活動の仕組みの解明にもつながる。
今回、古くから酵素の遺伝子と考えられてきたアリールスルファターゼ遺伝子に着目。ウニでは、この遺伝子がつくるタンパク質は大部分は酵素ではなく、細胞の接着や細胞運動の足場として働くことを証明し、人間でも同様であることを明らかにした。
近年、海洋生物学の研究者が次々とノーベル賞を受賞するなど、海洋生物の研究が生物学や医学、創薬などに生かされていることが世界的に注目されている。赤坂所長は「欧米のように海洋生物の基礎研究の有用性が、日本でも理解されるようになればと願っている」と話した。
天才の所業で医学は成り立っているんですね。
神経医学的に大きな発見