日本臓器移植ネットワーク(移植ネット)は2日、福井大付属病院に入院中の20歳代の女性が、改正臓器移植法に基づいて脳死と判定され、臓器提供の手続きに入ったと発表した。昨年7月の改正法施行後、本人の意思が書面で残されておらず、家族の承諾だけで提供されるのは29例目。脳死の人からの臓器提供は1997年の臓器移植法施行後116例目。
移植ネットによると、1日に同病院から移植ネットに連絡が入り、家族は同日、脳死判定と臓器摘出の承諾書を移植ネットに出した。同病院で女性の脳死判定が行われ、2日午前3時3分に2回目の脳死判定が終わって死亡が確定した。女性は頭部外傷で治療を受けていた。
移植ネットによると、女性は子どもの頃に、緊急入院したことがあり、女性の親は「助けてもらったことを何らかの形でお返しできれば」と考えていたという。
家族は心臓、肺、肝臓、腎臓、膵臓、小腸の提供を承諾した。心臓は東京女子医大病院で20歳代男性に、肺は岡山大病院で40歳代女性に、肝臓は広島大病院で60歳代男性に、腎臓は福井大病院で60歳代女性に、もう一つの腎臓と膵臓は神戸大病院で30歳代女性に、それぞれ提供される。小腸は医学的理由で提供を断念した。
すべての関わった人に、感謝。