組織や細胞の水分子の状態を見るMRI(磁気共鳴画像装置)で、大脳皮質の神経細胞の活動を直接観察することに、京都大医学研究科のデニス・ルビアン客員教授(フランス脳機能画像研究所ディレクター)、福山秀直・高次脳機能総合研究センター教授らのグループが成功、18日発表した。従来のMRIの手法より、早くより正確に観察できるといい、成果は米科学アカデミー紀要(電子版)に掲載された。
MRIで大脳の神経活動を観察する場合、従来は血液の流れの増減を画像にする手法が使われている。これに対し、ルビアン客員教授らは、水分子の不規則な運動(ブラウン運動)を画像化する「拡散強調画像法」という手法を使った。神経細胞の活動で細胞のサイズが変化すると、水分子の運動も変化すると考えたためという。
人に光の点滅を見てもらう実験を行い、この手法で観察。後頭部の「視覚野」の神経が、光に反応して活動している様子を画像にすることに成功した。
血流の増減を見る従来の手法では、神経細胞が活動開始して5、6秒後の変化しか見られない。さらに、血流の変化が不確かだったり、静脈が面のように見えたりして、活動している神経部位を細かく特定することが難しかった。今回の手法ならこういった欠点が解消できるという。
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やはりこういう系統では京大グループが強いですねぇ。水分子の動きを利用して画像化してしまうとは。神経内科の領域で大きな進歩につながりそうです。