胃潰瘍や十二指腸潰瘍の原因で胃がんとの関連も指摘されるピロリ菌の感染を乳酸菌で予防できないか――。そんな「実験」に、東海大と日本医大が6月から、タイで取り組む。ピロリ菌は幼少期に感染するが、日本では衛生状態の改善で感染率が大幅に低下していて効率的にできないため、タイのチェンマイ大も加わり、地元の幼稚園児を対象に臨床試験をすることになった。
しかし、日本では対象の子どもをかなり多くしなければ効果的な試験ができないことから、同大に協力を呼びかけた。チェンマイの1幼稚園で、事前に検査してピロリ菌陰性の健康な3〜5歳の幼児約300人を選ぶ。二つのグループに分け、特定の乳酸菌を含む食品と、含まない食品を毎日の給食でそれぞれ一つずつ食べてもらう。1〜2年間続けてもらい、再び検査して感染率を比べる。念のため、同大の小児科医らが3カ月に1回、幼児の健康診断を実施。結果は両国で生かされる。
研究に参加する古賀泰裕・東海大教授(感染症)は「ピロリ菌の感染は学童期までで、その後は感染する可能性がほぼない。小児期だけ乳酸菌を取り入れて感染を予防できれば、低コストで効果的だ」と意気込む。
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ヘリコバクター・ピロリは非常にユニークな細菌です。過去の学者たちも「胃は強酸だから細菌なんかいるわけねーよwww」と思っていました。ところが、いたのです。
ピロリ菌は、ウレアーゼという酵素を持っています。この酵素によって、胃の中にある尿素をアンモニアに変化させます。このアンモニアが胃酸を中和し、菌の周囲のpHを変化させて、酸に耐えるのです。すごいですねぇ。
ピロリ菌を除菌すれば胃潰瘍や胃がんのリスクを減らすことができるでしょう。がん大国日本にとっては大きな意義を持った実験です。