主に母乳からうつるヒトT細胞白血病ウイルス1型(HTLV―1)の抗体検査が、都道府県の保健所で受けられるようになる。官邸の「HTLV―1」特命チームは20日、会合を開き、総合対策をまとめた。自治体によって10月に始まった妊婦を対象にした一部または全額公費負担の抗体検査に加え、一般人も手軽に検査が受けられるようになる。
総合対策ではこのほか、保健所での感染者らへの相談支援などを盛り込んだ。厚労省に専門家や患者らによる対策推進協議会を設け、都道府県に置く母子感染対策協議会と連携する。関連疾患の研究費として、厚生労働科学研究費補助金に新たにHTLV―1の領域を設け、今年度の約5倍増となる10億円を新年度予算で確保するという。
HTLV―1の感染者は全国に約108万人いるとされる。九州や沖縄に多く、風土病とされてきたが、最近の調査で関東や中部で増えていることがわかった。ウイルスが原因で起こる成人T細胞白血病(ATL)を患う前宮城県知事の浅野史郎さん(62)や患者団体が国に対策の充実を要望、9月、菅首相の肝いりで特命チームが設置された。
特命チームの一人で患者代表の菅付加代子さん(53)は「この対策は厚労省の一部署でなく、特命チームでなければできなかった。何度も厚労省に通っても前に進まなかったが、やっと(国の対応に)血が通ったと思う」と話した。
会合に出席した菅直人首相は「この問題にしっかり取り組むと同時に、いろいろな病気で苦しむみなさんに対するモデルとして前進できたと思っている」と述べた。
特に九州で多いとされていたHTLV−1ですが、発見が遅かったというのもあり、結構全国的に広まっているようです。
白血病になるウイルス、というのは、なかなか特異的なものではありますが、一般への認知度は確かに低いものでした。