救急搬送を要請する人の中から緊急度の高い患者を「トリアージ」して早期の対応につなげようと、総務省消防庁が家庭や救急現場、医療機関が共有する判別基準の具体化に向けた検討に入った。医療機関では、心肺停止やショック状態など最優先での対応が必要な患者を「レベル1」(蘇生レベル)に位置付ける一方、アレルギー性鼻炎や皮膚発赤などは最も優先度が低い「レベル5」(非緊急レベル)にするなど、5段階でトリアージする仕組みの構築を目指す。
同庁によると、今年上半期の全国の救急搬送件数(速報値)は262万457件で、前年同期から15万1535件(6.1%)増えた。単に交通手段がないために救急出動を要請したり、軽症者が利用したりするケースもあり、これらが救急現場を圧迫しているとされる。
基準の導入は、こうした中で緊急度が高い患者を判別し、最優先で診察・治療を受けられるようにするのが目的。
「家庭」「消防本部(119番通報)」「救急現場」「医療機関」の4つのステージで基準を共有させたい考えだ。
同庁の案によると、このうち救急現場では、傷病者の状態に応じて「高緊急」などのレベルにトリアージし、非緊急の場合には自力で医療機関を受診するようアドバイスする。また医療機関では、救急搬送された患者をトリアージし、蘇生レベルの患者を最優先で診察・治療する。一方、非緊急なら120分以内に診察・治療を始める。
今後は、どのような状態を緊急度が高いと位置付けるかや、各レベルやステージごとに必要な対応を具体化する。来年度以降の実証事業を経て実用化を目指す。
同庁は来年度の予算概算要求に必要経費を計上しているが、政府の評価会議は「政策コンテスト」の結果に応じて事業ごとに予算を振り分ける方針を示しており、どこまで具体化できるかは不透明だ。
こうした仕組みはカナダなどで実際に運用されており、仕組みの具体化を進める上で参考にする。ただ、カナダと日本では医療システムや社会構造が異なるため、18日の作業部会で同庁の担当者は、「そのまま導入できるかは慎重に検討する必要がある」と説明した。
救急車の出動要請が必要かどうかを家庭で判断できるようにするため、総務省消防庁では一般向けの「救急車利用マニュアル」を年度内に作成する。
マニュアルの骨子案によると、迷わず救急車を利用する必要がある場合の具体例を、「脳疾患」「心疾患」「小児」などの症例ごとに紹介する。また、救急車をタクシー代わりにするなど、不適切利用の事例も盛り込む。
実際には重症なのに軽症とみなす「アンダートリアージ」が起きないように工夫するという。
救急車出動というのは結構、よほどのことがないとやらないもんだと思ってましたけどね。
実際には「何でこんなんで来ちゃったの」っていうようなことも、数知れず、です。夜起こされた医師はため息をつく。
そうならないよう、家庭で相談できる電話やマニュアルなどがあると便利ですね。実際にそれらは進んでいるようですので一安心といえば一安心か。