医療を支える献血。善意で提供される健康な血液は、手術や大量出血の際に生命維持のために用いられる輸血だけでなく、がんなどの治療でも必要になる。採血のほか、24時間態勢で血液製剤などの供給をする県赤十字血液センターの仕事を取材した。
2009年度に献血した人は全国で延べ約530万人、県内では延べ約3万5千人。必要な血液型など日々の需要に合わせ、主に近県と量を調整はするものの、県内50以上の医療機関で使用する血液は、ほぼ県内の献血者によって支えられるという。
県内で唯一の常設の献血施設「甲府献血ルーム」(甲府市丸の内1丁目)を中心に、移動献血車が企業や学校を回り、採血をする。移動車は短時間で採血でき、血液中のすべての成分を採取する400ミリ献血(約30分)が中心だ。400ミリ献血は輸血用血液の90%以上を担う。一方、体への負担が少なく、血小板や血漿など特定の成分だけを採取する成分献血(約1時間)は、献血ルームのみで行っている。
同センターの新田敏規渉外係長によると、毎年冬季は献血者数が激減する。「寒さで体調を崩したり、年末年始は学校や企業が休みに入ったりと、(献血者数の約6割を担う)移動車の採血数が落ち込むため」だという。
献血からつくる製剤を必要とするのは高齢者が多い。そのため、少子高齢化の影響も無視できない。才間俊郎業務課長は「今後も血液の需要は増える見込みだが、県内の献血者数は減少傾向にある」と懸念する。
必要な献血を集めるためのイベント開催なども同センターの役割の一つで、年間計画をたてている。今月18日は、中央市山之神のショッピングセンターで「全国学生クリスマスキャンペーン」(県学生献血推進連絡会主催・同センター協力)を開く。1月の「はたちの献血キャンペーン」でも、若年層の献血者を増やそうと躍起だ。「若いうちに1度でも献血を経験してもらえれば、その後も献血をしてもらえる可能性が広がる」と新田さん。
また、献血を集めるだけでなく、効率的に使用するために管理することも必要になる。たとえば、赤血球製剤の有効期間は21日、血小板製剤は4日だ。「21日というのは長いようで短い」と新田さん。一般的な手術など、事前に必要数が予想できるもののほか、夜間救急で緊急に「B型の血液を(200ミリリットル換算で)30人分」という注文が来ることもある。注文がない日もある夜間は配送の担当との2人体制だが、人命に直結するため、24時間気が抜けない。
採血の拠点、甲府献血ルームはこれまで駐車場の不足が課題だったが、今では160台駐車可能な甲府市の複合ビル「ココリ」の駐車場も無料で利用可能になった。望月和文所長は「献血者には、(400ミリ献血や成分献血では)糖尿病の指標となる数値や肝機能、コレステロール値など15項目の検査結果を送っている。自らの健康管理にも役立つ献血にぜひ協力して欲しい」と呼びかけている。
甲府献血ルームは12月31日と1月1日をのぞく午前10時から午後5時まで。移動車の予定は同センターのホームページに掲載されている。
最近献血してないなぁ
忙しくていけないというのもあるし、わざわざ献血しに外へ行くのも、という気がするし
そういう人向けの「移動車」なんですけども
6割も担ってるとは知らなかった。