京都大医学部付属病院(京都市左京区)は2日、3月21日に呼吸器外科(和田洋巳教授)で脳死肺移植を実施した患者が脳障害を起こし、1カ月以上にわたり意識不明の状態が続いている、と発表した。京大は再発防止の十分な体制が整うまで、生体移植を含め肺移植手術を自粛する方針を明らかにした。
患者は近畿地方在住の30代女性で、肺リンパ脈管筋腫症のため京大5例目の脳死肺移植を受けた。同病院では昨年3月に行われた4例目の脳死肺移植で、手術直後に患者が死亡している。
今回の経緯について、内山卓病院長らが午後1時から記者会見。手術は順調に進んだが、術後のCT(コンピューター断層撮影)検査でびまん性脳浮腫になったことがわかったという。
外部の専門家5人を含めた事例調査委員会(8人)を4月に設け、原因を調査しているが、4月20日に京大側が自主的に手術自粛を決めたという。
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肺移植には期待していましたが、残念な結果に終わってしまいました。正直な話、改善を目指してこの先も「トライ」してもらいたいところです。亡くなった方のためにも、原因解明に全力を注いで下さい。
なお肺リンパ脈管筋腫症は、妊娠可能な年齢の女性にのみみられる疾患です。肺に薄壁嚢胞が多発し、進行して閉塞性換気障害のため呼吸不全に陥ります。自然気胸がみられる場合に疑い、胸部CTにて嚢胞の存在が確認されます。気胸を繰り返し、労作時呼吸困難、咳、喀痰、血痰がみられるようになったらご注意を。
参考:難病情報センター