2006年05月02日

触診で声を出す患者ロボ誕生。OSCE対策に有効か

患者ロボ誕生、8症状に対応…岐阜大大学院

 岐阜大大学院医学系研究科は、頭や腹部を触ると、病気の症状に合わせて「そこが痛い」などと応答する仮想患者ロボットを開発した。

 頭や胴体に内蔵された24個のセンサーが触診個所を感知し、入力されている急性胃腸炎や虫垂炎など八つの症状に合わせて、学生の問診と触診に音声で応答する。同研究科によると世界初だと言う。

 ロボットは人肌に近い感触のシリコーン製で、学生に触診の腕を磨いてもらうため、今年度の授業から採用されている。学生には「実際の診察を前に自信をつけられる」と好評だ。

 開発した高橋優三教授(57)は「センサーの感度を人に近づけるのに苦労した。さらに改良し、より多くの症状に対応できるようにしたい」と話している。

_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/

 OSCE対策でしょうか。OSCEとは「Objective Structured Clinical Examination」の略で、知識を問う試験ばかりの中で唯一ともいえる実技試験なのです。実技とは言っても、模擬面接を通して、患者と接する際の態度、コミュニケーション能力、診察能力などに重点がおかれます。

 このOSCEが近々全ての医学部で必須試験となります。そのためこのロボットはおそらく全ての医学部で購入が検討されるのでは…。

 まぁ、患者役なんて生身の人間でやればいいというのもありますが。「模擬患者」と呼ばれる、患者役のプロフェッショナル(俳優)も世の中には存在します。下記リンクの著者は模擬患者のプロです。

参考:あなたの患者になりたい

---

「患者様」と患者の椅子
佐伯晴子

教育と現実の乖離

 ところが,迎えられてという最初の段階から,どうも居心地が悪いのです。壁の張り紙やパンフレットなどには,「患者様……」という文字が大きく書かれています。「患者さん」ではなく「患者様」です。例えば「お母さん」より「お母様」のほうが尊敬の念がより感じられます。親しい関係というより一歩さがって相手をうやまって「様」と言います。

 その「患者様」表示の診察室で患者が座る椅子はどうだったでしょう? 昔のラーメン屋,と言うとラーメン屋さんに怒られますね,パイプの脚に平たい円座が乗っただけの軽いお粗末な,今どきまだ売っていたのか,と驚くような「椅子」でした。その椅子しかない,と言われるので,仕方なくOSCEの模擬患者として座ってもらいましたが,大事な模擬患者のほうが転倒してケガでもされたらどうしよう,と私は気が気ではありませんでした。

 その椅子に「患者様」はいつも座らされているのか,と私はなんとも言えない無力感に打ちのめされていました。教育はある程度,理想を語るものであることは承知しています。しかし,これほど現実と乖離しているのでは,共用試験やコアカリキュラムの教育が語っていることが実行されるのか,心もとなくなってくるのです。

 おそらく学生さんも同じ思いではないでしょうか。挨拶や自己紹介,患者を尊重して話を聴く,という姿勢や態度が,現場では誰も行なっていないのを見るとどんな気分になるのでしょうか? 臨床実習に出た後のOSCEで,患者の上に立ったような態度の学生さんに出会うことがあります。また,研修医にはエライ人になられて,と感じることがたびたびです。いくら優れた教育を医学部で行なったとしても,そこで身につけた技術や態度を活かすことができないのが医療現場の実際だとしたら,その教育に意味はあるのでしょうか?

関連:医学新聞


広告
posted by さじ at 20:43 | Comment(1) | TrackBack(0) | 大学
この記事へのコメント
それで、被害者は被験者になったわけ?
Posted by 電磁波被害者 at 2010年07月25日 16:23
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:


この記事へのトラックバック