在宅で介護を担う人の4人に1人が、うつ病の代表的な症状である「抑うつ」状態にあることが、厚生労働省の研究班による調査で分かった。高齢者が高齢者を介護する「老老介護」の場合、介護者の約3割が「死にたいと思ったことがある」と答えた。研究班は「在宅介護の推進には、介護する人の心のケアが欠かせない」と指摘している。
現在の心の健康状態を「健康」「まあ健康」「やや不調」「不調」の4段階で尋ねたところ、65歳を境に「不調」が急増し、「やや不調」と合わせると4割を超えた。75〜84歳では48%が「心が健康ではない」と感じていた。
うつ病傾向を見る国際的な指標「自己評価抑うつ尺度」(SDS)を使ってさらに詳しく調べたところ、全体の23%が軽度から重度の「抑うつ状態」だった。65〜74歳が最も高く27%に達した。
また、「死んでしまいたいと思ったことがある」(「少しある」を含む)と答えた介護者の割合も、65歳以上で約3割にのぼった。65歳未満では2割前後に過ぎなかったが、10ポイント近く上回った。
しかし、実際にうつ病の治療を受けている人は、全年代を通して3%台と少なかった。
主任研究者の保坂隆・東海大教授(精神医学)によると、SDSで「抑うつ状態」と判定される割合は通常、健康な人の2〜3%、がん患者で約20%程度という。
うつ病は退職、引っ越しといった環境の変化や、強いストレスに長期間さらされることが引き金になる。薬で完治するが、適切な治療を受けないままだと自殺につながる可能性もある。
保坂教授は「介護者はある意味で自殺のハイリスクグループといえる。孤独になりがちな介護者を、地域ぐるみで支える仕組みが必要だ」と指摘する。
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高齢者を高齢者が介護する場合、その現場は想像以上に凄惨だと思います。2,30代でさえ投げ出してしまいそうになる介護を、自身と同じほどの年齢で行わねばならない現状。。。地域ぐるみでのボランティアサポートが必要なんでしょうね。医療が介入する場合、国による援助の増加が必須だと思います。