体内の炎症の程度を示す「CRP」というたんぱく質の値が高いほど、大腸がんになりやすいことが、厚生労働省研究班の大規模調査でわかった。
CRPは通常の血液検査に含まれる項目。大腸がんの予防対策への活用が期待できそうだ。
研究班(研究責任者=津金昌一郎・国立がんセンター予防研究部長)は、男性約1万5300人、女性約2万6700人を11年半にわたり追跡調査。うち375人が大腸がんになった。
がんにならなかった人も含め、約1100人について、調査前に提供を受けていた血液のCRP値を通常より100倍以上感度のよい方法で分析、4グループに分けた。その結果、大腸がんになる危険度は、CRP値の最高グループ(血液1リットル当たり0・96ミリ・グラム以上)が最低グループ(同0・24ミリ・グラム未満)より1・6倍高かった。研究担当の笹月静・国立がんセンター予防研究部研究員は「大腸がんの危険が高い人をえり分け、予防対策に生かすのに参考になる基礎的成果だ」と話している。
CRP(C Reactive Protein)C・リアクティブ・プロテインの略。体内で炎症が起きると増えるたんぱく質。細菌感染症や関節リウマチなどによる炎症で値が高くなる。値が高いと、なぜ大腸がんの危険度が高まるのかはわかっていない。
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CRPは、診断の際によく用いられる検査項目ですが、この実験では通常の100倍近い感度で測ったそうな。よりミクロな視点でCRPを研究したわけですね。
炎症が起こることで細胞が傷つけられて癌化するのか、もしくはCRP自体が何か悪さをするのかは不明ですが、予防に繋がれば、ガン大国日本にとってはひとつの光が見えるでしょう。