医療用麻薬「フェンタニル」を違法に所持・使用したとして、横浜市立大付属市民総合医療センター(同市南区)の麻酔医、N容疑者(37)らが麻薬取締法違反容疑で逮捕された事件で、N容疑者がフェンタニル入手のため「治療患者に投与される前、ブドウ糖にすり替えていた」と供述していることが24日、捜査関係者への取材で分かった。ブドウ糖はフェンタニルのような鎮痛作用はなく、患者が痛みを感じていた可能性もあり、県警は調べを進めている。
N容疑者は09年4月から麻酔科、今年6月から集中治療部に勤務。捜査関係者によると「個人的な悩みがあり、忘れるために今年4月ごろからフェンタニルを使い始めた」と供述しているという。
麻酔科在籍時は手術で余ったフェンタニルを延べ約100本分吸い上げて流用。集中治療部に異動後は、患者用としてベッド脇に置いてあったフェンタニルを含む液体50ミリリットルの入った容器を、同量のブドウ糖の入った容器に十数回にわたり交換、持ち去って使用していたという。
同センターによると、N容疑者は、麻酔科在籍時の3〜5月は計52人、異動後の6月以降は月最大約50人の患者を担当していた。
フェンタニルはモルヒネの約200倍の鎮痛作用があるといわれ、手術時は麻酔用に、集中治療室では全身管理で痛みを和らげるために使われる。ブドウ糖に鎮痛作用はないため、本来投与されるはずだったフェンタニルを処方されなかった患者は痛みを感じていた可能性があるが、話ができない重症患者がほとんどのため、痛みを感じても伝えられなかったとみられる。
同センターはこれまで、担当部長らを通じて患者に容体の変化などがなかったか調べたが異常はなかったという。同センターは「捜査が進みフェンタニルの入手手法が明らかになった時点でより詳しい調査を行いたい」としており、今後、患者への影響を再調査することになりそうだ。
麻酔医の麻薬違法使用:調査委を設置 市大センター病院、再発防止も検討 /神奈川
医療用麻薬「フェンタニル」を違法に所持・使用したとして横浜市立大付属市民総合医療センター(同市南区)の麻酔医、N容疑者(37)が逮捕された事件を受け、同センターは25日、調査委員会を設置した。
県警によると、院内の麻薬が持ち出されており、同センターは、逮捕から1週間が経過したことから設置を決めた。調査委は病院関係者や外部有識者など十数人で構成する予定で、近く初会合を開く。N容疑者が麻薬を入手した方法や動機などを調査、再発防止のため麻薬の管理体制の見直しを検討するという。
県警によると、N容疑者は、集中治療室の患者に投与される麻薬をブドウ糖にすり替えて持ち去ったといい、同センターでは患者への影響についても調査をする方針。
横浜市立大・・・。
全身麻酔を行う手術のうち、麻酔深度が深くなるまでは痛みを身体が感じてしまい、意識はなくとも動いてしまう、という場合があります。そんなとき、痛み止めとして劇的に効くのがこの「フェンタニル」です。
本来なら厳重に管理されるはずの麻薬ですが、はっきり言って麻酔科医ならば簡単に流用できます。手術中に、投与したフリをして、使ったかのような記載をすればいいだけです。痛みが出ているような状況であれば血圧が上昇したりして、その記録は残りますが、そこまで細かくチェックしている人がいるかというと必ずしもそうではないというのが現状でしょう。そしてフェンタニルの空き容器を提出して、1アンプル使いましたよ、と報告すればいい。
誰でもできますが、誰もやりません。
医師としてのプロ意識、モラルが普通はあるはずです。
おそらく麻酔科にずっと在籍し続けていたら、まずバレなかったのではないでしょうか。集中治療部でも使い続けたあたりが、怖いですね。
まあ一番被害をこうむったのは患者自身でしょう。痛いのに、痛み止めが使われなかったという。意識がない患者ならばまだいいかもしれませんけれど、集中治療部において、意識はあるけど痛みを感じている患者に使っていなかったとなると、もうこれはプロ失格どころの騒ぎではありません。
モラルもなにも…何の為の薬なのか。誰の為なのか。痛い事がどれ程怖いか知ってもらいたい。