病原菌が食中毒などを引き起こす毒素を作ることを抑える阻害剤を、京都府立大生命環境科学研究科の宮崎孔志准教授(病原細菌学)たちのグループが開発した。治療が難しく、院内感染で大きな問題となっている「多剤耐性菌」に毒素をほとんど作らせなくする薬剤としても期待できるという。
緑膿菌や黄色ブドウ球菌などの病原菌は、それぞれ特異的なフェロモン様の物質を出して情報交換し、菌が十分に増えたことを互いに確認してから一斉に毒素を出して宿主を攻撃する。フェロモンの働きを阻害する物質は研究されているが、病原菌の種類だけ阻害剤も必要で、実用化には課題が多い。
宮崎准教授は、多くの病原菌でフェロモンを作るスイッチとなる化学物質が共通していることに注目し、この化学物質を菌体内で合成する酵素の阻害剤を開発した。緑膿菌などの培養液に入れると、毒素の産生を約20分の1に減らすことができた。虫歯菌(ミュータンス菌)でも、歯垢の原因物質の産生が約4分の1になった。
宮崎准教授は「(開発した阻害剤には)殺菌作用がないので、有用な常在菌を殺さない新しいタイプの消毒・除菌剤としても期待できる。動物実験で効果を確かめたい」と話している。
これは医療現場で色々応用できそうな技術ですね。
抗生剤は常在菌までも殺してしまうデメリットがありますけどもこれならば。