胎児の時に、細胞中のカルシウム濃度を調節する機構に異常があると、心室の壁ができないなど、先天性の心疾患につながることを、慶応大と理化学研究所のチームがマウスを使った実験で突き止め、1日付の米科学誌プロスワンに発表した。
日本では出生児の約1%、年間1万人以上が、心臓に何らかの病気を持っている。同大小児科の山岸敬幸専任講師は「こうした病気の予防法開発に向け、手掛かりの一つになる」と話している。
チームは、体の細胞の中でカルシウム濃度の調節にかかわる「イノシトール三リン酸受容体」と呼ばれるタンパク質のうち、1型、2型という種類をつくることができないマウスの胎児を遺伝子操作で作製。するとこのマウスは、心臓の厚い壁をつくる細胞ができなくなった。
心臓の壁や弁の細胞をつくるには、カルシウムイオンによってカルシニューリンという酵素が活性化される必要がある。マウスが活性化したカルシニューリンをつくることができるよう、さらに遺伝子操作を加えると、細胞の数が増加したという。
心臓とカルシウムイオンは切っても切り離せない関係にありますからな。先天性心疾患は、まだ生まれたての幼い命に重大な影響を及ぼしかねません。ここのところを臨床的な治療に使えたら凄いことです。