心臓の冠動脈が血栓などで詰まる「急性心筋梗塞」を起こした患者に、白血病などの治療で使われる薬を皮下注射で投与し、壊死しかけた心筋を回復させることに千葉大大学院の小室一成教授(循環病態医科学)と千葉県救急医療センター、君津中央病院などのチームが成功した。
小室教授らは、急性心筋梗塞を起こした50〜70歳代の男女16人に対し、血液中の造血幹細胞を増やす薬剤「顆粒球コロニー刺激因子(G―CSF)」を5日連続で投与した。投与4日後と6か月後の心臓の状態を比べると、冠動脈が詰まり血液量が著しく減少して一部が壊死してしまった部分が平均3割ほど減少。心臓の収縮力も正常値近くまで回復した。
G―CSFが活性酸素の一種によってダメージを受けた心筋細胞を保護して細胞死を防いだり、心臓の血管を増やしたりしたとみられる。一方、G―CSFの代わりに生理食塩水を注射した患者では変化がなかった。
急性心筋梗塞の治療は現在、冠動脈を広げる手術や、血栓溶解剤の使用などが一般的。一方、G―CSF注射は簡便で、危険性も比較的低い。小室教授は「今後、G―CSFが心筋梗塞に使えるよう、製薬会社が適用の拡大を厚生労働省に申請することになる。認められれば、広く使用されるようになるだろう」と期待している。
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最近心筋梗塞関係のジャンルで様々な面からアプローチされていますね。治療法が増えるのはとても良い。幹細胞シートによる心筋梗塞治療だと侵襲性が高かったりとリスクも大きいでしょうから。
参考:顆粒球コロニー刺激因子