様々な細胞に変化し得る幹細胞を皮下脂肪から採取してシート状に培養し、心筋梗塞(こうそく)で壊死(えし)した心臓表面に張り付けて治療する動物実験に、国立循環器病センターと東京女子医大の研究グループが成功した。
慢性期の重症心不全の新たな治療法となる可能性がある。3日付の米科学誌「ネイチャーメディシン電子版」で発表する。
グループはラットの皮下脂肪組織から採った幹細胞を培養し、これで厚さ0・02ミリ・メートル以下の薄いシートを作成。ラットの冠動脈を縛って人工的に心筋梗塞を起こさせ、約1か月後に壊死した部分にシートを張り付けた。処置をした13匹は、その後1か月間生存した。
処置を施したラットの心臓組織を調べたところ、薄片は壊死部分と融合して厚さ0・6ミリに成長し、心筋や血管などの細胞が新しくできていた。グループは、細かい血管ができて栄養が補給され、組織が機能改善に必要な厚みにまで成長したと見ている。
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これは以前、当ブログ内で取り上げた「細胞シートの再生医療」を実践したニュースですね。東京女子医大のグループというのは、東京女子医科大学大学院の大和雅之助教授と岡野光夫教授らのことでしょう。
参考:医学処 生理の血から、心筋っぽい細胞を発見
この研究の凄いところは、シートを貼り付けることによって心筋の動きをサポートするだけでなく、新たに血管も形成されて癒合することですね。1度に何枚もシートを重ねると血管が形成されにくく、数枚ごとに癒合するのを待たねばならないところがネックらしいですが、それさえ克服してしまえば…いや、むしろそれでも実用化されれば多くの人が助かるのでしょう。何にせよ今一番注目している再生医療です。