RマドリードのMFデビッド・ベッカム(30)が、自らの病気を明かした。英国のテレビ局ITB1のインタビューをサンデー・ミラー紙が掲載。ベッカムは「OCD(強迫性障害)に悩まされている」と話した。「すべてがパーフェクトでないと気が済まない」として「ペアや偶数、直線でないとだめ。冷蔵庫に入っている飲み物の本数が奇数だと、1本を隠したくなる」と症状を説明した。
以前から潔癖性で知られていたベッカムが、病気を口にしたのは初めて。マンチェスターU時代はチームメートも理解しており、周囲に対するストレスもなかったが「レアルでは誰も知らない」と話した。プレーする上での障害はないが、日常生活では「不安になることもある」という。40年ぶりの優勝を狙うW杯開幕を2カ月後に控えて、イングランド代表主将が悩める心を打ち明けた。
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OCDというのは「obsessive-compulsive disorder」の略です。obsessive…取りつかれたように、compulsive…強迫的な、disorder…病気というところから分かるように、強迫性障害とは、ある行為や思考をやめることができないことを言います。ポイントとなるのは、自分では無意味だ、ばかばかしいと思っていながらも、それをやめてしまうと不安になるためにやめることができないというところです。
強迫性障害の患者は神経症の1つですが、脳の一部の糖代謝が高く、更に尾状核(大脳基底核の1つ)の体積が小さくなるそうです(理由は不明)。神経細胞の末端にセロトニンが増えると強迫症状が治まるといわれており、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)が注目されています。
フロイト曰く「強迫神経症と、あるパーソナリティとは関係がある。」と。更にフロイトは、そういった性格(強迫性格)のことを肛門愛性格と呼び、強迫神経症になりやすいとしました。特徴としては、吝嗇(りんしょく…ひどく物惜しみすること)、頑固、秩序を重んじるということが挙げられ、この性格傾向は、幼児期のトイレトレーニングで生じる子供の欲求と親の干渉との相互関係に関連があるとされています。
一見すると礼儀正しいが、その行動は、「攻撃衝動の打ち消し」などの、「自身の防衛行動」によるもので、内心は未分化な情動、攻撃欲、支配欲などが隠れています。
”移ろいやすい愛など信頼できない”とばかり、”決して裏切らない”お金や地位にしがみつく傾向がある。権威者との葛藤が強く、反抗すると報復を強く恐れ、といって屈服すると、たいへんな屈辱を覚えるという特徴がみられる。
参考:標準精神医学 (医学書院発行)