日本臓器移植ネットワークは19日、近畿地方の病院で脳死状態になった18歳以上の男性について、家族が脳死判定と提供を承諾し、法的に脳死と判定されたと発表した。男性は文書による臓器提供の意思表示をしておらず、家族は「臓器提供について本人と話をしたことはない」と説明しているという。7月の改正臓器移植法施行以降、同法に基づく家族承諾による脳死判定は、今月9日に関東地方の病院で判定された20代の男性に次ぎ2例目。
移植ネットによると、男性の家族は「もう助からないのであれば、どこか体の一部が生きていればうれしい。元気な体なので、たくさんの人の役に立ってほしい」と話していたという。男性の年代や、死因、提供病院などについては家族の希望で公表されていない。
男性が提供を拒否していないことについて、移植ネットは、意思表示カードを持っていないこと、健康保険証、運転免許証に記載がないことなどで確認したとしている。
移植ネットによると、男性の家族は17日夜に臓器移植について移植コーディネーターの説明を受けることに同意。18日昼ごろ、脳死判定と臓器摘出の承諾書にサインをした。
1回目の法的脳死判定は18日午後7時40分に始まり、同9時4分に終了。2回目は19日午前3時4分に始まり、同4時24分に終了した。臓器摘出手術は同日午後2時50分ごろに始まる予定。
移植ネットは登録された待機患者の中から優先度の高い患者を選定する。心臓は東京大病院で40代男性に、両肺は大阪大病院で20代男性に、肝臓は京都大病院で40代男性に、一方の腎臓は神戸大病院で60代男性に、もう一方の腎臓と膵臓は名古屋第二赤十字病院で30代女性に移植する方向で調整している。家族はほかに眼球と小腸の提供を承諾していたが、小腸は医学的理由で移植が断念された。
早くも2例目。法改正による脳死臓器移植が当たり前のものとなって、ニュースで取り上げられるほどではない「当たり前の医療」になる日もそう遠くはないか?
それにしても家族の英断には感銘を受けます。まだ2例目だというのに、誰かのためになるのなら、と決断して下さった。ありがたいです。ご冥福をお祈りすると共に感謝の意をレシピエントに代わって申し上げます。
全医療者、患者を代表してお礼をいいたい