高度に進行した肝門部胆管がんを切除する難手術で、名古屋大の教授(腫瘍外科学)のグループが極めて高い成功例を挙げ、米医学雑誌「アナルズ・オブ・サージェリー」に成果が掲載された。梛野教授は「化学療法しか方法がないとされていたが、光が見えてきた」と話している。
肝門部胆管がんは、肝臓と胆のうをつなぐ胆管の、肝臓に近い位置にできるがんで、日本人に多い。腸で吸収した栄養分を肝臓に運ぶ門脈(血管)や、酸素を供給する肝動脈が周囲にあり、進行すると、それらにまで広まる。
このため手術では、胆管や胆のう、肝臓を切除し、腕や足の血管を使うなどして門脈や肝動脈をつなぎ合わせる高度な技術が必要となる。これまで発表された国内の切除手術では、3年以上の生存者は、ほぼ皆無だった。
名大では約30年前から昨年末までに、世界で最多の532例の手術を実施した。1997年以降に高難度の手術をした25〜78歳の男女50人のうち、8割近くが1年以上生存。手術後5年以上経過した時点で3人が生きていた。
梛野教授は「他の医療機関は手術をあきらめていたが、名大では長い期間、症例を研究、手術のやり方を改良してきたことが実績につながった。患者には(切除を)治療の選択肢に含めてほしい」と話している。
肝門部胆管がんは日本人に多く発症し、年間2500〜3000人が死亡。手術しない場合は1年以内に死亡するとされている。
外科の先生たちが挑み続ける最難関の手術には色々ありますが、中でもやはり肝臓系はスペシャリストしか挑めないイメージです。
血流が多い=出血量が多く、しかも外科的切除による予後をなかなか期待できませんでした。しかし最近は手術法の改良に伴い、かなり予後を期待できるようになりました。
やはり医学というのは失敗を糧にし、世界中で情報を共有することで進歩し続けるものなのですね。