2010年07月23日

潰瘍性大腸炎の画期的新治療法を浜松医大が発見。

指定難病の潰瘍性大腸炎 新治療法へ道 浜松医大などが共同研究

 厚生労働省指定難病(特定疾患)の潰瘍性大腸炎は、免疫細胞が分泌するタンパク質の一つを増やすと大腸の粘膜を保護する物質が作られ、症状を改善できることが、浜松医科大第一内科の杉本健助教(42)と米ハーバード大の共同研究で分かった。杉本助教は炎症部分にだけ、このタンパク質を増やす方法も開発しており、新しい治療法につながると期待される。

 杉本助教は、自然に潰瘍性大腸炎を発症するマウスの大腸で、タンパク質のインターロイキン22(IL−22)と結合する受容体が多く存在することを発見。IL−22と大腸炎の関係に注目した。

 実験でマウスの大腸のIL−22を増やすと、受容体と結合して細胞内にある情報分子STAT3を活性化した。STAT3は、粘膜を保護する働きがある物質のムチンを作る杯細胞を増加させ、できたムチンによって症状は改善された。逆にIL−22を中和することによりSTAT3を抑制すると、症状は悪化した。

 杉本助教はこれらの実験からIL−22、STAT3、ムチンと、症状の関係を解明。IL−22で症状を改善できることを示した。

 潰瘍性大腸炎の治療法は現在、抗炎症剤や免疫抑制剤で炎症を抑えるのが主流。これに対し、IL−22の働きを生かし、粘膜を保護することで症状を抑えるのは、まったく新しい考え方だ。

 IL−22は、腸以外では別の働きをしており、単に与えただけでは別の臓器に副作用が出る恐れもあるが、炎症部分にだけIL−22遺伝子を導入する方法も開発した

 杉本助教は「ヒトでもマウスと同じであることを確認し、遺伝子導入の倫理的課題を解決した上で、新しい治療法につなげたい」としている。

滋賀医科大大学院の安藤朗教授(消化器免疫学)の話

 われわれもIL−22の発現が潰瘍性大腸炎の病変粘膜で増強していることを見いだしていたが、IL−22が何をしているのか分からなかった。この研究はIL−22の機能を明らかにしただけでなく、局所投与による効果を確認し、将来の臨床応用への可能性を示した点が画期的だ。



 IL、インターロイキンは多くの種類があり、それぞれに特有の作用があります。今回のようにいまだ作用が分かっていないものもありますが、やはり何らかの働きをしているんでしょうね。IL−22も、今までは何でこんなもんあるのかわかんない、という状態だったようです。

 しかし粘膜保護作用があることが分かった、と。すなわち、治療に使えるのではないか、と。こうやって臨床医学は発達していくのです。潰瘍性大腸炎という難病の患者数は、難病の中でもかなり多いほうで、苦しんでいる方は大勢います。彼らが問題なく日常生活を送れるようになるための第一歩となる研究かもしれません。
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posted by さじ at 18:49 | Comment(3) | TrackBack(0) | 消化
この記事へのコメント
何の役にも立たず存在しない事を明確にしたIL-22をどう具体的に徹底的に生かす特性を失わず、腸は人間の健康を司る。担当に管理致し支配すると断言しても大袈裟でない!記載記事の三つの関係性素晴らしい晴れ
Posted by みか at 2010年07月24日 10:33
免除細胞が分泌するタンパク質の損傷つまり溶けてしまって白血球情報遺伝子に間違えを修正出来ない形に及んだ事の解決策です
Posted by みか at 2010年09月03日 17:28
通達(みと・あかつかカンファレンス)*『ムチン騒乱;令和の改新』;安倍晋三内閣総理大臣指示【公共メディア元年】#令和の大号令




学術秘書
池田です。


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Posted by 池田剛士 at 2020年03月07日 00:45
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