2010年07月23日

排水に含まれる抗うつ剤で海老の行動が変化している

排水中の抗うつ剤、エビの行動に影響

 世界各地の下水道などに垂れ流される抗うつ剤の残留物の影響で、エビの行動が変化し、捕食されやすくなっているという最新の研究が発表された。抗うつ剤プロザックを飲んだエビは“ハッピー”にはならないようだ。

 研究では自然の状態を再現するために、一般的な下水処理後の排水に含まれる濃度の抗うつ剤フルオキセチンの水溶液に、河口などの入江に生息するヨコエビを入れた。フルオキセチンは、代表的な抗うつ剤製品であるプロザックやサラフェムの主成分だ。

 エビは安全で薄暗い物陰にいることを好むのが常だが、フルオキセチンの影響を受けたエビは、水中の明るい場所に向かって泳いていく確率が通常の5倍であることが実験でわかった。イギリスにあるポーツマス大学の生物学者で研究の共著者アレックス・フォード氏は、「こうした行動の変化によって、エビは魚や鳥などの捕食者にかなり襲われやすくなる」と説明する。フルオキセチンの作用によってエビの神経は、心的状態や睡眠のパターンを変化させることで知られる脳内化学物質セロトニンの影響を受けやすくなるという。

 抗うつ剤の使用量は近年急増しつつある。「Archives of General Psychiatry」誌に2009年に掲載された論文によると、2005年に抗うつ剤を使用したアメリカ人は約2700万人で、アメリカの全人口の10%を超えるという。抗うつ剤の使用が拡大することで、エビ以外の生物へも大量のフルオキセチンが影響を与えるのではと研究チームは懸念する。

「今回の実験は、どこにでもいて食物連鎖の中でも重要な位置を占めるエビに焦点を当てて行ったが、セロトニンは魚などエビ以外の生物の行動の変化にも関係がある」とフォード氏は指摘する。同氏は、抗炎症剤や鎮痛剤など他の多くの一般的な処方薬も水生生物に被害を及ぼす可能性があると警告する。

 しかし、人間が服用する薬の弊害から水生生物を守る方法もあると同氏は主張する。例えば、責任ある薬の廃棄について社会の認識を高めたり、下水処理で薬を分解する技術を改良したりするなど、問題解決に向けでできることはたくさんあるという。



 そんなに濃度の高い排水が流れるんですか・・・確かに最近抗うつ剤の使用頻度は増加しているとは思いますけれども。

 もともとうつに対抗するための薬理作用は、脳内分泌物質をどうこうするものですからね。それを他の生物が摂取した場合の影響もそれなりにあるというわけか。だからといって減らすわけにもいかないし。


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posted by さじ at 18:41 | Comment(1) | TrackBack(0) | 薬理
この記事へのコメント
生体系に影響を及ぼす重大性と元来の変化はあまり良い結論結末でない。その現実は生体系が伸びて生きてる場所に微生物が爆発的に殖え被害を与える問題より更に重要な鍵が有ると推定致す所に濾過性病原体→ウィルスと淡水にて三つの関係性?
Posted by みか at 2010年07月29日 23:23
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