日本赤十字社医療センター血液内科部長の鈴木憲史氏は7月20日、セルジーン社が同日新発売した多発性骨髄腫治療薬レブラミドカプセルの記者発表会で講演し、「当初はサリドマイドの誘導体というイメージだったが、似て全く非なる薬。サリドマイドが効かなくなった人にも効くということで、治療の幅が広がったと考えていい」と述べ、同薬への期待感を示した。
国内の再発、難治性の多発性骨髄腫の治療薬には現在、サリドマイド(藤本製薬のサレドカプセル)、ボルテゾミブ(ヤンセンファーマのベルケイド)があるが、鈴木氏は「最も効くと言われているのがレブラミド」と紹介。また、足がしびれる末梢性ニューロパシーや、血小板の減少などの副作用がほかの薬剤に比べて少なく、モニタリングが簡単などの利点を紹介し、「今後恐らく爆発的に市場が広がっていくと思う」との見方を示した。
レブラミドと、同剤と併用で用いられるレナデックス錠4mgは、セルジーン社が日本で初めて発売する製品となる。同社セールス・マーケティング本部長の高木実加氏は、「日本ではまず、セカンドライン以降の治療薬として、しっかりとした位置付けを確立していきたい」と述べた。高木氏によると、全国に70人のMRを配置しており、日本血液学会の研修施設を中心とした650施設を対象に営業活動を展開する。
また、同剤はヒトでの催奇形性の可能性があるため、胎児への曝露を防止するため適正管理手順「レブメイト」が定められており、高木氏は「早急に日本の医療現場に根付かせていきたい」と述べた。同社によると、現時点で90施設が同手順に登録、25施設で処方が可能な状況にあり、既に患者数人にレブラミドが処方されている。
サリドマイドというイメージが強すぎる日本でも、最近は結構、サリドマイドそのものの有用性が見直され始めています。血液内科の領域においてはこういう薬の選択肢が増えることは大変ありがたいことです。