最先端の検査機器、PET(陽電子放出断層診断装置)を2台備えた医療法人錦秀会阪和インテリジェント医療センターが4月1日、阪和第二泉北病院内にオープンする。がんの早期発見に役立つとされるPETの導入は、堺では初めて。新たな政令市の中核を担う検査機関として期待される。
PETは陽電子を放射する薬を受診者に注射し、臓器内への集積を撮影する。脳や心臓の機能、腫瘍(しゅよう)の存在など、ほぼ全身の機能や代謝を断層画像としてとらえることができる。同センターのPETはCT(コンピューター断層撮影装置)と同時に検査できるPET/CTで、両者の画像を重ね合わせることで、より高度な診断が可能で、がんに対して、高い検出感度を持つ。
注射して1時間安静にしたのち、30分程度の検査で、終了まで2時間半程度かかる。同センターは、大阪大核医学診療科と連携。検査の精度を高め、1日に1台10人程度の受診が可能という。ベーシックコース8万1900円など。
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「高度な診断」というのは、がんが発見しやすいとかじゃないんです。がんがどういう状態なのか?を知るのに有用なのが、PETなのです。
CTやMRIなどで得られる画像は「がんの大きさや形」ですが、PETは全く異なり「がんの活動具合」を見ることができます。がん細胞が糖を取り込むという性質に着目し、その吸収具合を画像化することでどのようなスピードで活動しているのかを見ることが出来るわけです。
ここまでで、「PETは万能ではない」ということに気づかれるでしょう。PETは、CTやMRIより優れているというわけではないのです。むしろ全く別物。
それなのにメディアは「PETスゲー!がん発見率No1!みんなPET受けに遠くまで行こうよ!なんならツアーまで組んじゃうよ?」というノリでPET神話を創り上げました。
そこへ、読売新聞がテポドンをぶち込みました。国立がんセンターのPET検査で、がんの85%が検出できなかったという記事です。
ニュース:がんの85%見落とし
PET検査:未検出85%
同センター内に設置された「がん予防・検診研究センター」では、2004年2月から1年間に、約3000人が超音波、CT、血液などの検査に加えPET検査を受け、150人にがんが見つかった。
ところが、この150人のうち、PETでがんがあると判定された人は23人(15%)しかいなかった。残りの85%は超音波、CT、内視鏡など他の方法でがんが発見されており、PETでは検出できなかった。
がんの種類別では、大腸がんが見つかった32人のうち、PETでもがんと判定された人は4人(13%)。胃がんでは22人中1人(4%)だった。
PETによる発見率が比較的高いとされる肺がんでも28人中6人(21%)、甲状腺がんで11人中4人(36%)にとどまった。
国立がんセンターの村松幸男検診部長は「PETでは『小さながんを見つけやすい』と言われてきたが、早期がんでは他の検査に比べ検出率が低かった。PET検診の意義は小さいのではないか」と話している。
ちなみに、PETでは診断が難しいがんは胃がん・腎がん・尿管がん・膀胱がん・前立腺がん・肝細胞がん・胆道がん・白血病などです。
しかし、それ以外のがんでも発見率は低いようです。再度言いますが、PET診断は発見率がどうのというより、CTやMRIと併用して使うことで全体的ながん像(大きさや形だけでなく活動性など)を捉えることができるという点に意義があると思います。そういったことを黙殺して「PETは凄い!発見率No1!」と言ってしまうのは、ある種詐欺ではないでしょうか。