毎年100万人の死者を出す原虫感染症「マラリア」を媒介する「蚊」を使って、マラリアの「ワクチンを接種する」研究が進んでいる。マウスを使った実験では、ワクチンの媒介役として成功したと、自治医科大学の吉田栄人准教授が英国の昆虫分子生物学専門誌に研究成果を発表した。
世界保健機関(WHO)によると、世界では毎年、約2億5000万人がマラリアに感染し、約100万人が死亡。アフリカでは子供の死因の2割がマラリアとなっている。
吉田准教授の研究チームは、マラリアを媒介するハマダラカを遺伝的に操作。マラリア原虫の増殖を阻害する物質を作らせたり、唾液腺に別の遺伝子を組み込んで発現させることに成功している。
蚊の唾液にワクチンを発現させることができれば、蚊に刺されることで病原菌ではなく、ワクチンを体内に注入することができるようになる。
吉田准教授は、遺伝操作した「蚊」による「ワクチン接種」は痛みもなく、費用もかからない手法だとして、実用化を目指している。
蚊を根絶するわけではなく、むしろマラリアワクチンを注入してくれる蚊。
マラリアによる死者が多すぎる以上、生態系に介入するのは仕方のないことのような気もしますが…蚊をどうにかする中では一番自然で効果的のような気がする手法です