政権交代の波は、自民党の長年の有力支持団体である日本医師会(日医)をも突き崩した。親民主党路線の新会長の誕生である。
日医は全国16万6千人の医師を会員にもつ。そもそもは政治活動でなく、医学教育や公衆衛生の向上を目的とする社団法人だ。親自民路線との決別を、原点に立ち返る機会としてほしい。
時の政権に左右されずに、国民医療の充実に取り組む医師会へと変わるときだ。
日医が注目を浴びる理由は、その政治力にある。豊富な資金力と集票力をバックに、国の医療政策を動かしてきた。
組織のあり方は曲がり角に来て久しい。小泉政権下の医療費削減政策に加え、昨夏の政権交代が決定的だった。鳩山政権は、医療行為の公定価格である診療報酬を話し合う中央社会保険医療協議会の委員から、日医の幹部を排除。影響力が大きくそがれた。
この会長選は、親自民の現職に親民主、政治的中立の2候補が挑む事実上の三つどもえとなった。結局、政権与党との距離が最も近い候補が当選したものの、票は3氏に割れた。会員は政治との間合いを測りかねている。
この迷いを、変革の足がかりにできないか。
医療という公益性の高い職業集団のトップを決めるのに大事なことは「政権との距離」ではない。日医が取り組むべき課題は、ほかのところにある。
各都道府県の医師会は、地域の最前線で医療と公衆衛生を担っている。医師不足をどう解消していくか。新型インフルエンザ対策の課題は。女性医師が働きやすい環境づくりは−。現場から実効ある医療政策の提言を求めたい。
日医が医師の利益を代弁するのは、患者によりよい医療を提供するためであるはずだ。診療情報の公開など患者の権利保障に力を注いでほしい。
新会長は会見で「医療崩壊の原因は、長い間の医療費削減に由来する」と述べ、医療へのさらなる公費投入を求めた。
開業医中心とされる日医は、これまで診療報酬の改定の際、開業医優位の配分を働き掛けてきた。それが勤務医の待遇改善を置き去りにし、医療崩壊を招いた一因である。こうした過去を省みて、医療費の無駄に自ら切り込む姿勢がなくては主張に説得力を欠く。
既得権益を守っている、ととられるのは、新会長も本意ではないだろう。心して組織の改革を進めてもらいたい。
よくわからんですな。
確かに数十年前、絶大な政治力のあったころの日本医師会は政治をも操っていたとされていますが、今ではさほどありません。というか別に現場の医師らは常に患者の利益優先で働いていますから、民主を支持するかどうかとはあまり関係がない。むしろ国民の医療の質の維持のために与党を支持するべき存在だと思います。
今後はむしろ勤務医を優遇する政策になったほうがいいかな、とは思いますけれどもね。あと看護師職の給料アップ。