加齢に伴って、歯周病の一つである歯周炎が増加する原因について、過剰な免疫反応が関係している可能性があるとわかってきた。花王は、長崎大学大学院医歯薬学総合研究科の原宜興教授との共同研究の結果を発表した。
研究では21〜64歳の健康な女性115人を対象に、歯周ポケットの深さや出血の有無、プラーク量といった口腔診査のほか、唾液中の歯周病関連細菌の量、血液中の歯周病関連細菌の毒素に対する抗体の量を調べた。
結果、加齢とともに歯周炎が進行している人の割合が増える傾向が認められたほか、歯周病関連細菌の量よりも、歯周病関連細菌に対する抗体の量のほうが歯周炎の進行の程度と関連が強く認められた。そのため、加齢による歯周炎の進行には、免疫反応の影響があることが示唆された。
長崎大学の原教授は、「歯周病を予防するには、歯周炎が進行する歯周ポケットの深い部分にある抗原の原因となる細菌を除去することに加えて、免疫反応をコントロールすることが重要」と考察している。
研究結果は、5月に盛岡で開催される第53回春季日本歯周病学会学術大会で発表する予定。
歯周病は加齢にともなってなるものだとされていますが、その理由は単純な菌の作用ではなく、免疫系の反応が関与しているという研究。
このことが分かれば、治療法も別のアプローチが出来るかもしれません。