双極性障害であると自己診断する人が増えているという新たな現象について英国の精神科医が分析した論文が、医学誌「The Psychiatrist」3月号に発表された。
双極性障害は、「正常な」期間をはさんで、そう状態とうつ状態を繰り返す気分障害を指し、かつては「躁うつ病」と称されていた。生涯で1回以上発症する人は100人中1人とも、100人中11人ともいわれる。
双極性障害であると自己診断する人が増えていることについて、ロンドンの2人の精神科医、ダイアナ・チャン博士とレスター・シアリング博士は、俳優のメル・ギブソンやロックスターのアクセル・ローズといった有名人らがテレビ番組などで双極性障害の体験を赤裸々に告白したことと関連しているのではないかと指摘している。
博士らによると、この病気への認知度は、ネットやラジオ、MTVの「True Life: I'm Bipolar(実話:わたしは双極性障害)」や英BBCの「The Secret Life of the Manic Depressive(躁うつ病患者の秘密の生活)」といったテレビ番組を通じて高まっていったとしている。
だが、博士らは、BBCの同番組について、「精神疾患の比較的穏やかな側面が描かれており、メディアでよく報道されるようなリスクや暴力との強い結びつきについてはほとんど言及されていない」と注意を促した。
日本でも、お昼の情報番組や本当は怖いなんちゃらかんちゃらといった番組を放映した翌日には、全国の病院に「私はこの病気ではないか」と視聴者が殺到するという現象が起こっています。
病気に対する正しい知識を報道するのは良いことなのですが、過剰な報道はかえって不安を煽ることになりますからね。難しいところです。病気を見逃さない、という意味では良いのでしょうけれども。