全国の自殺者が12年連続で3万人を超える中、神戸市医師会は3月から、一般のかかりつけ医と精神科専門医の連携を緊密にする「神戸G‐Pネットワーク」を稼働させる。自殺の大きな要因となっているうつ病などをかかりつけ医が早期発見し、専門医や総合病院と連携し、自殺を食い止めるのが狙いだ。
兵庫県内では1998年、自殺者が1000人を超えて以降、高止まりの傾向が続いている。2008年、1300人を切ったが、09年は再び増加し、1354人になった。このため、同市医師会は08年12月から、神戸市や県精神科病院協会、県精神神経科診療所協会などとともに検討委員会を設置し、同ネットワーク設置を決めた。
同医師会によると、情報を集約するセンターを、精神科専門病院内に設置。精神保健福祉士が、一般のかかりつけ医と専門医のつなぎ役を務め、患者の治療状況などについて追跡調査もする。
具体的には、同医師会会員の1500開業医を受診した患者に、幻覚、妄想などの訴えがある▽自殺念慮が強い‐などの症状が出た場合は、同センターを通じ計20カ所の専門診療所、専門病院に患者の容体や生活状況を記した「G票」を送り、患者を紹介する。また、約130カ所はうつ病などの早期治療を施す「登録かかりつけ医」に指定する。
専門医は患者を治療するとともに、病名や治療計画、薬の処方内容を記した「P票」を作り、かかりつけ医と情報を共有。そのほかの病気との合併症がある場合などは総合病院とも連携する。
同医師会の近藤誠宏理事(55)は「将来的には、産業医や企業、学校にもネットワークに入ってもらい、県内全域の取り組みにしたい」と話す。
同医師会は、同ネットワークの稼働に合わせ、3月20日午後2〜4時半、同市中央区橘通4の市医師会ホールで「神戸自殺総合対策拡大会議」を開き、民間団体との連携を考える。入場無料。定員100人。申し込みは同12日まで。神戸市医師会TEL078・351・1410
これは良い試み。神戸市の、自殺者を減らそうとする意志が強く感じられます。
自殺を食い止めるためには、早期発見が何より大事で、そして早期の適切な治療に結びつける必要があります。
開業医の先生方と、精神科専門医との連携がうまくいけば、自殺企図のある患者さんを見つけ出して、すぐに必要な治療を行うことができるでしょう。こういう地道な試みで、命を絶つ人は減らせるのではないでしょうか。全国に先駆けてのモデルケースとなるか。