日本医師会の中川俊男常任理事は2月24日の定例記者会見で、医師数を中長期的に増やすことは妥当だが、医学部の新設には「反対」とする日医の見解を発表した。3私大が医学部新設の準備を進めているとの一部報道を受けたもの。
見解では、中長期的に医師数を1.1−1.2倍にすることが妥当とし、その前提条件として、▽財源の確保▽医学部教育から臨床研修制度までの一貫した教育制度の確立▽医師養成数の継続的な見直し―の3点を挙げた。
その上で、文部科学省が公表している来年度医学部入学定員の増員計画では、過去最多となった今年度(8486人)からさらに増加して8846人になるとして、「医学部を新設する必然性はない」と指摘した。
さらに具体的な問題点として、▽医療現場の医師が教育確保のために引き揚げざるを得ず、地域医療崩壊が加速する▽教員が分散し医学教育の水準や医療の質の低下を招く▽人口減少など社会の変化に対応した医師養成数の柔軟な見直しを行いにくくなる―の3点を挙げた。
また、2008年の1医育機関当たりの医師数は289人、医療施設(病院・診療所)医師数は27万1897人とする厚生労働省の「2008年医師・歯科医師・薬剤師調査」などのデータを挙げ、「仮に医学部が1つ新設され、医療現場から289人が失われると、医療施設医師数は0.1%減少する」と指摘した。加えて、二次医療圏の約4割で医療施設に従事する医師数が289人以下だとして、地域での医療崩壊の進行への懸念を示した。
中川氏は会見で、「医師不足だから医学部を作ればいいというあまりにも短絡的な発想。日本の医療制度全体を見通さない発想には本当に驚かされる」と述べ、19日に全国医学部長病院長会議が関係省庁などに提出した医学部の新設と急激な定員増に慎重な対応を求める要望書について、「非常に的確な反論だった」と述べた。
まあ言わんとすることは分かります。正直、現場の医療従事者で、医学部が増えることを強く望んでいる人はあまりいないのでは。
というのも、今の歯学部の現状のように、飽和状態になってしまっても困るわけです。今は医師不足ですが、昨年から医学部の定員を10%増しました。このままいけば少しずつ増えていくはずです。
そこへ医学部を更に新設すると、その医学部を支える大学病院の運営で何百人もの勤務医、そして医学教育に携わる人員が増え。更に人口減少で医師の必要性も減じていくのでは、という点を危惧しているのでしょう。
個人的には、単純に、あと2,3個あっても面白い、と思いますけれどね。自治医大システムで地方に私大を作れば、地域医療の医師不足も賄えると思いますし(早稲田大などが医学部を新設する、のは論外というか必要性を全く感じませんが)