世界保健機関(WHO)は、アルコールが健康や社会に与える害を防ぐための規制指針案をまとめた。酒類メーカーの広告やスポーツイベントのスポンサーになることの規制、安売りの制限などを含む。20日のWHO執行理事会で合意される見通しだ。
具体化は各国の自主性に委ねるが、WHOがたばこに次いで対策に乗り出すことで、アルコール害への意識が国際的に高まるとみられる。
この指針は「アルコールの有害な使用を減らす世界戦略」。WHO事務局案は「年250万人の死因に関係する」と警鐘を鳴らす。
本人の健康だけでなく、交通事故や暴力、自殺などにも注目。とくに若者への悪影響を心配し、広告や販売のあり方を改めるべきだとして、コストを下回るような安売りや飲み放題を禁止または制限するよう求めている。
未成年者に酒を買いにくくする措置も呼びかけている。日本で普及している自動販売機なども規制対象になりそうだ。課税や最低価格制による酒の価格引き上げが「最も効果的」とも述べている。
指針は、WHO加盟国への法的拘束力は持たない。各国は地域性や宗教、文化などに合わせて対策を選べるが、その進展について定期報告を求められることになる。
「世界戦略」づくりは2008年のWHO総会で決まった。議論には加盟国だけでなく、NGOや酒業界も加わってきた。執行理事会の後、5月のWHO総会で採択される見通しだ。
WHOは1980年代、「健康への脅威」として、たばこ規制に乗り出した。米国でたばこ会社に賠償を求める裁判が相次ぎ、広告規制や価格引き上げにつながった。
アルコールをめぐる議論は、「たばこ規制枠組み条約」が採択された2003年ごろから勢いづいた。日本でも、ビール業界がテレビCM自粛に動いている。
まあ確かにアルコールの害というのはありますからね。ただ煙草と違って、「100%有害というわけではない」点や、深く文化として根付いている点などから、規制しようにも難しい、というのが現状でしょう。
適度な飲酒ならば世界中誰も止めませんが、アルコール過剰摂取による問題は個人のみならず家庭をも崩壊させてしまうほどです。アルコール中毒という問題が発生する背景を考えた場合、できるだけ適量の飲酒で済むような意識を国民全体が持つべきですし、そうするためには国を揚げての規制も必要になるでしょう。
いまの日本の社会ですと、何かネガティブなことがあったときのウサ晴らしとしてまず行われるのが「暴飲」ですからね。そこらへんの改革がうまくなされれば。