たばこをやめると糖尿病のリスクが高まる傾向があることが、米メリーランド州ボルティモアにあるジョンズ・ホプキンス大学の研究で分かった。禁煙が通常、体重増加につながることが影響しているとみられる。
だからといって喫煙者はこの研究結果を、たばこをやめない口実にしてはならない、と医学誌「アナルズ・オブ・インターナル・メディスン」に発表されたこの論文は警告している。
研究は同大学のシンチエ・イエ准教授が率いる研究グループが行ったもの。禁煙と糖尿病の関連を示す過去の研究結果を裏付けるとともに、禁煙後の体重管理に関する医師の支援や、禁煙に伴う体重増加を抑制する効果があるニコチン置き換え療法(NRT)の検討などが必要だと指摘している。
内科・伝染病専門のイエ准教授は発表資料で、「要するに、たばこを吸い始めるなということだ」とした上で、「吸っているならやめるべきだが、体重増加にも注意を払う必要がある」と説明している。
研究チームは45〜64歳の約1万1000人について、9年間のデータを調査。対象期間の3〜5年前にたばこをやめた人は2型の糖尿病になる確率が、もともと喫煙の習慣のない人に比べ80%高かった。研究開始後の3年間にたばこをやめた人は73%高く、禁煙後の最初の3年間に糖尿病のリスクが最も高まることが示された。
研究開始の6〜9年前に禁煙した人の罹患リスクは54%高く、それより前に禁煙した人は16%高い。喫煙を続けている人の罹患リスクは26%高かったという。
罹患リスクが最大だったケースは、男性では60歳以上で1日20本以上喫煙していた人が禁煙後に4キロ以上体重が増えたケース。喫煙経験がない人に比べて糖尿病罹患率は3.4倍高く、リスク調査対象全グループ中最大。
女性では、1日の喫煙数が20本以下で禁煙後に4キロ以上体重が増えたグループ。喫煙しない女性に比べて2.7倍高かった。
糖尿病は、血糖の分解が阻止されることでさまざまな合併症が引き起こされ、心臓病、腎臓病、視力喪失、手足の切断などに至る病気。遺伝的な糖尿病もあるが、2型糖尿病患者のほとんどは肥満が原因である。
よくタバコを止めると、食べ物がおいしくなって、つい食べ過ぎてしまう、といいますね。そのせいで太った、と。
この研究はタバコによって糖尿病が抑えられていたというわけではなく、タバコを吸っていて禁煙した人の糖尿病リスクが高いから禁煙後に気をつけましょう、というもの。
一番賢いのは「最初から吸わない」ことは言うまでもありませんが、禁煙するときに糖尿病になるリスクを抱えているのだからその点にも注意しつつ禁煙を行っていきましょう。気をつけていればリスクは減らせます。