膠原病やがんの治療の副作用で卵巣の機能が失われる前に一部を凍結保存し、治療後に本人に移植する臨床研究を始めると、聖マリアンナ医大(川崎市)産婦人科の石塚文平教授、鈴木直准教授らが明らかにした。学内の倫理委員会の承認を得た。
女性ホルモンのエストロゲンが欠乏すると心筋梗塞や骨粗しょう症などにつながる恐れがあるため、卵巣の移植でホルモン分泌を回復させる狙い。既にサルを使った同様の実験で周期的なホルモン分泌を確認している。
卵巣の機能が失われると、女性ホルモンの投与のため通院しなければならないが、保存していた卵巣を移植して機能すれば、通院の必要がなくなる。また、より自然な自分のホルモンを得られるのが利点という。
凍結保存によって卵巣内にある卵子も保存されるため、子どもを持つことができる可能性もあり、国内では慶応大、岡山大などが白血病などの女性を対象に凍結保存に取り組み、海外では出産の報告例もある。ただ技術は未確立といい、石塚教授らは安全な手法の開発を目指す。
石塚教授らは対象を、治療に抗がん剤を使う膠原病や子宮頸がん、初期の乳がんなどに拡大。3年間で18〜39歳の女性50人に実施する。
計画では、抗がん剤や放射線の副作用で卵巣が機能不全になる前に、最低でも6分の1程度の組織を採取し、厚さ1ミリ以下にスライス。細胞が傷まないように、独自の技術で脱水し、マイナス200度で凍らせる。治療後に解凍し、卵巣があった場所や卵子ができた場合に採取しやすい皮膚の下などに移植する。
人間の体というのは、ホルモンの絶妙なバランスで成り立っています。ホルモンをつくる臓器を取ってしまうと、ホルモンが足りなくなってしまい、様々な症状が出てしまいます。
この研究は、そんなホルモン不足を補うだけでなく、妊娠する可能性をも維持する画期的なもの。海外でも色々やられているようですが、これはそれをより安全かつ利便性の高いものにした、というところでしょうか。
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