先天性疾患のダウン症は、染色体の異常で過剰に作られる酵素によって、細胞の生死や増殖をコントロールする別の酵素が分解されるのが原因との研究結果を北海道大遺伝子病制御研究所の野口昌幸教授(分子生物学)らのグループがまとめ、15日付の米専門誌「デベロップメンタルセル」に発表した。
ダウン症では、若年性アルツハイマー病や白血病などの合併症が高い確率で発生することが知られており、発症メカニズムの解明で、合併症治療に役立つことが期待できるという。
野口教授によると、蛍光顕微鏡などを使った解析で、ダウン症の原因とされる21番染色体の異常により「TTC3」と呼ばれる酵素が通常より約20%多く放出されていることが判明。TTC3が、細胞の生死や増殖を制御している別の酵素「AKT」と結合、分解することでAKTの量が極端に減り、細胞増殖の異常などダウン症の症状が現れることが分かった。
野口教授は「二つの酵素の結合バランスの乱れが合併症の発症原因の一つになっている可能性がある。結合を阻害する新薬の開発などが進めば、今後治療の可能性が広がるだろう」と話している。
酵素1つの量が20%多いだけでこんなに大きな違いに。
この酵素を減らすような薬や治療法が出来れば、染色体異常であってもダウン症の症状を軽減したり、合併症を減らしたりできるかもしれませんが、細胞の酵素を減らすというのはなかなかに難しそうですねぇ。