年齢を問わず、人気の健康法がウオーキング健康法。しかし、脳全体に影響を与えるセロトニン神経研究の第一人者で『歩けば脳が活性化する』(ワック)の著者、有田秀穂東邦大学教授は「歩数計に縛られた歩き方は脳の活性化につながらない」と警鐘を鳴らす。テレビモニターを見ながらのウオーキングはカロリー消費につながっても、セロトニン神経の活性化は期待薄という。有田教授は「歩き終えたときに疲労感でなく爽快感を感じることも重要」と指摘する。
有田教授によると、セロトニン神経が活性化すると、(1)大脳の緊張状態が緩和され、アルファ波(安静時に出現する脳波)が出やすくなる(2)ネガティブな気分が改善されて、プラス志向になる(3)抗重力筋が働き、顔つきや肌の張り、姿勢がよくなる(4)痛みの感覚が和らぎ、痛みに耐えられるようになる(5)自律神経が活発化する−といった変化が起きる。いわゆる「セロトニン効果」だ。
セロトニンは睡眠ホルモンの一つ、メラトニンと車の両輪のような関係にある。セロトニンが昼間の活動を演出しているのに対して、メラトニンは夕方以降、セロトニンに代わって増え始め、睡眠をコントロールするという。
「室内で終日、ゲームばかりしている子供に比べ、屋外でよく遊ぶ子供は太陽の光を浴び、セロトニン神経が刺激されて深い眠りにつける。ウオーキングをするときも、深夜より朝日を浴びながらするほうが心身両面にいい効果をもたらします」
おすすめできないウオーキング法として、有田教授は(1)テレビモニターや雑誌を見ながら漫然と歩く(2)仲間とおしゃべりをしながら歩く(3)距離や消費エネルギーばかりに気をとられ、体力の限界まで歩くこと−を挙げる。
昭和39年に「日本ウオーキング協会」が誕生し、翌年には国内最初の歩数計が発売。歩数計の普及とともにウオーキングが生涯スポーツとして浸透したが、有田教授は「歩数や消費カロリーにばかり気をとられていると、エネルギー代謝としてのウオーキングになりがち」と指摘する。セロトニン神経の活性化には余計な雑念を捨て、集中して歩くことが肝心という。
また、朝型の生活に変えてセロトニンが増えるような生体時計に変えることも大切という。セロトニンの最大の敵はストレスと疲労。有田教授によると、へとへとになるまで歩くことは百害あって一利なし。「正しいウオーキングは深い睡眠へ誘う副作用のない薬を自前で出すための準備と考えて」と呼びかけている。
なるほどねー。
へー、と思ったのが、友人と話しながら歩くのもNGという点ですね。朝日を浴びながら、楽しく歩くことがポイントか。友人と喋りながら歩けば楽しいかもしれませんけれど、笑いなどの楽しさではなく、極力ストレスを軽減する歩き方が、脳にも良いようです。