放射線を照射されたラットに幹細胞を移植して、記憶能力を回復させることに成功したという論文が今週、米科学アカデミー紀要に掲載された。脳腫瘍の放射線治療で記憶障害が起きた人の治療に応用できる可能性がある。
論文を発表した米カリフォルニア大学アーバイン校(University of California at Irvine)の研究チームによると、放射線治療を受けたラットの頭に幹細胞を移植したところ、放射線治療から4か月以内に記憶能力が回復したという。一方、幹細胞の移植を受けなかったラットは認知機能が50%以上損なわれた。
放射線治療を受けた患者は何らかの記憶障害が起き、生活に悪影響が出ることもある。研究チームは、放射線でダメージを受けた脳の組織を幹細胞を使って回復させることが可能なことが初めて示されたとして、移植した幹細胞がラットの認知機能を改善したメカニズムを調べている。
記憶。記憶かぁ。
脳障害で、記憶能力が低下する、というのは稀ながらあります。人間に応用する場合、どのあたりに幹細胞を、どうやって移植するのか、がポイントとなりそうです。
ある程度リスクがあっても、記憶能力は取り戻したいものですからね。「メメント」のように、記憶できない人、というのは実際に存在します。そういう人の治療法にもなりえるのかもしれません。