東北大国際高等研究教育機構の富田浩史准教授(分子生物学)らの研究グループは5日、光を感じる緑藻の遺伝子を組み込んだ失明ラットが、正常に近い視覚を回復することが分かったと発表した。4日付の米科学誌プロスワンに掲載された。
富田准教授は、光を感じる網膜の視細胞が障害を受けてしまう網膜色素変性症などで失明した人の視力回復治療につながる可能性があるとした。
研究グループは、緑藻に光を感じる遺伝子があることに着目。この遺伝子を組み込んだラットを失明させて実験した結果、ものの動きや色の濃淡の判別などで正常なラットとほぼ同等の視覚を取り戻したという。
研究グループによると、国内では毎年約1万6千人が難病の網膜色素変性症や加齢黄斑変性のほか、糖尿病網膜症、緑内障などで失明している。富田准教授らは人に近いサルを使った実験を進め、この遺伝子を注入して視力を回復させる治療法の確立を目指していく方針。
これは先天的な失明(要するに脳の視力をつかさどる部分も発達していない状態)ではなく、網膜などに異常が起こる後天的な疾患で有用です。
失明の原因は数多くありますが、糖尿病であったり網膜色素変性症であったり、緑内障であったりしても、有効な治療法として確立できそう。
目が見えないという状態から視力を取りもどす、これこそ眼科の醍醐味です。