2009年11月04日

認知症患者に対する介護従事者のバーンアウトを防ぐためには

介護従事者の「バーンアウト」を防ぐには―認知症ケア学会シンポ

 日本認知症ケア学会(理事長=本間昭・認知症介護研究・研修東京センター長)は10月31日と11月1日の両日、「認知症の人を地域で支える」をテーマに東京都内で第10回大会を開いた。初日には、大会長を務めた本間氏や芥川賞作家の玄侑宗久氏が講演したほか、シンポジウムでは各講演者が認知症の人やケアに携わる介護従事者を支える方策などを訴えた。

 初日に「ケア提供者のバーンアウトを防ぐ」と題して開かれたシンポジウムでは、認知症の人のケアに当たる介護従事者の「バーンアウト」を防ぐ方策について意見交換が行われた。

 「介護現場のバーンアウトを防ぐ」をテーマに講演した大阪府の特別養護老人ホーム「フィオーレ南海」施設長の柴尾慶次氏は、経験のある職員ほど利用者に対して「イラっとする瞬間」があると指摘。その上で、「感情に感情で返すのはプロではない。感情には適切な技術で対応するという専門性を身に付けることが必要」「『イラっとする瞬間』にその場を離れる冷静さも技術」などと述べ、介護従事者にとって利用者との「距離の取り方」が重要と訴えた。

 また、東京都の「緑寿園ケアセンター」室長の須藤演子氏は、「相談を受ける立場からケア提供者のバーンアウトを防ぐ」と題して講演し、職員のバーンアウトを防ぐために「個人レベル」と「組織レベル」両面から働き掛けることが重要と指摘。個人レベルでは、▽職員の普段の状況を把握すること▽職員の表情や業務の変化に気付くこと▽仕事への配慮―などを挙げた。また、組織レベルの働き掛けとして、▽上司や同僚によるサポート体制の構築▽職員の専門性を高めるために研修機会をつくること▽個人の創造性や組織参画を大切にすること―などを挙げた上で、職員のバーンアウトを防ぐために「予防的視点」で対策に取り組むことが大切と述べた。

 さらに、北星学園大文学部教授の田辺毅彦氏は、バーンアウトを引き起こす要因の一つとして「ユニットケアの普及」を指摘。少人数での過重労働やコミュニケーション規模の縮小などで相談できないといった問題点があると述べた。その上で、職員数を増やすことやユニットを孤立させないための緊密な情報交換などが施設にとって重要と強調した。

 「認知症の人を地域で支える」と題したシンポジウムでは、島根県にある「エスポアール出雲クリニック」院長の高橋幸男氏が、「認知症を普通に生きるためには」をテーマに講演した。高橋氏は、認知症の人はコミュニケーションが取りづらくなるため、家族や友人に相談できず、社会や家族の中で孤立する傾向にあると指摘。認知症の人に対するあいさつや話し掛けなどのコミュニケーションを徹底し、家族や仲間の輪から外さないことが必要と強調した。

 また、認知症の人の不自由や失敗に対する家族など介護者による「指摘」や「励まし」を、認知症の人が「しかられている」ととらえることがあると主張。指摘や励ましを減らすことや、認知症デイケアなどを利用するなど、「しからない人」や「しかられない場所」を保証することなどが重要とも訴えた



 先日、静岡の認知症専門病院にお邪魔する機会があったんですけれど

 職員のプロフェッショナルぶりに驚きました。

 その病院ではこの記事に書かれているようなことが的確に実践されていて、そうすると認知症の患者さんもすごく状態がいいんですよね。暴れたりすることがほとんどなく、病院全体が落ち着いた雰囲気に包まれていました。

 こういう環境を作れるのも、職員の方のもつ高いプロ意識のおかげなんでしょう。

 認知症の患者さんのやることなすことに感情で反応してしまっては、認知症の患者さんも不安で攻撃的になりますし、それに反応したご家族や職員も疲弊だけが溜まってよろしくないのです。

 そうはいっても認知症。難しいところもあります。専門機関に相談してみるのも1つの手かと思います。医療従事者といえど、大学病院や大手市中病院などの急性期専門病院のほうが、認知症患者の扱いはうまくない印象はありますし。
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posted by さじ at 12:14 | Comment(0) | TrackBack(0) | 介護
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