東京都は、花粉症患者に利用しやすい根本的治療法「舌下減感作療法」の臨床研究結果をホームページ上で公表した。それによると、研究終了時点の協力患者142人の約7割で症状が消失または軽減し、効果が認められた。都では、この臨床研究と現在進行中の他の臨床研究の結果がまとめられ、早期に実用化されることが望まれるとしている。
都では現在の花粉症治療について、「症状を抑える対症療法が中心」と指摘。その上で、根本的治療法として現在、保険適用されている皮下注射での減感作療法について、2年以上にわたって医療機関に通院し、注射を実施するなど、患者負担が大きく、「利用しやすい根本的治療法の実用化が望まれている」としている。
こうした中、都は「舌下減感作療法」の早期実用化に向けて、有効性と安全性などを検討するため、臨床研究を東京都臨床医学総合研究所と日本医科大に委託。臨床研究は2006年4月から3年間、実施された。
実施方法は、スギ花粉の抗原エキスを食パンの小片に垂らし、協力患者がこの食パン小片を2分間舌下に保持した後、吐き出すというもの。抗原エキスの濃度や量を段階的に増やすとともに、投与の間隔を「毎日」から「2週間に1回」へと広げていった。
この間に報告された副作用は、鼻や目のかゆみ、舌の違和感、発疹といった「軽微なもの」で、アナフィラキシーのような重篤なケースはなかった。
研究者の日本医科大耳鼻咽喉科学教室の大久保公裕准教授は研究結果から、「スギ花粉エキスを用いた舌下減感作療法は、有効性、安全性共に優れた治療法であると言える」としている。
アレルギーはスギ花粉やハチの毒といった抗原を摂取することで起こります。逆に言えばその抗原を常に摂取しつづければ、免疫能もそれに馴染んでくるということを利用したもの。
ハチの毒のアレルギーに対して注射をすることで、強烈なアナフィラキシーショックを予防する方法などは知られています。それのスギ花粉バージョンを、舌下投与だけで緩和しようというもの。
舌の裏の静脈から吸収されると、ダイレクトに身体に入るので効果が高いのでしょうね。もし実現したら、かなりの人が日常生活楽になるかもしれません。方法も楽ですし。