2009年11月01日

2009年度研修医マッチング終了。大学病院は5年連続で半数割れ

5年連続の半数割れ 大学病院で研修の医大生 地域格差も浮き彫り

 2010年度から医師になる医学部の大学生らが臨床研修病院を選ぶ「マッチング」結果が29日公表され、希望順位登録者8200人中、7875人の研修先が決まった。大学病院は3916人(49・7%)で、民間や自治体が運営する市中病院が3959人(50・3%)。大学病院の比率は08年実施の前回マッチング(49・1%)より上昇したものの5年連続で半数を割り込んだ。

 募集定員(全国で計1万500人)に対し、確保できた学生の割合(充足率)を都道府県別にみると、トップは東京の92・0%で、次いで神奈川の89・0%。都市部の病院が依然として高い人気を維持している一方、前回39・2%と全国最下位だった富山が59・2%に大幅アップ。しかし鳥取(36・7%)と島根(31・0%)が3割台にとどまるなど、地域格差があらためて浮き彫りになった。

 厚生労働省は「偏在解消には至っていないが、大学病院や都市部以外の病院で人員が増加に転じており、制度改正による一定の効果は見受けられる」としている。

 東京、神奈川に次いで充足率が高かったのは愛知(88・9%)、大阪(88・5%)、福岡(88・3%)。最下位は島根で、鳥取、山梨(45・7%)、埼玉(48・2%)、青森(48・8%)が続いた。

 一方、都市部を抱える東京、神奈川、愛知、京都、大阪、福岡の6都府県以外の病院に決まった学生の割合は、52・3%で前回(51・3%)より上昇。04年度の制度導入時の水準に戻った。

 マッチングは、04年度に義務化された臨床研修制度に伴い導入されたが、「医局特有の徒弟制度が色濃く残る」などの理由で大学病院を避ける学生が急増。勤務条件や研修プログラムが充実している市中病院や都市部の病院に人気が集まった。国が5月、(1)都道府県や病院ごとの募集定員を設定(2)地域への医師派遣機能を持つ大学病院などの定員枠を優遇-するなど制度を見直した。



医師研修先、都市部への集中やや緩和

 新卒医師に2年間の研修を義務付ける臨床研修制度で、厚生労働省などは29日、2010年度の研修先内定状況を公表した。

 同制度は都市部への医師の集中が加速した一因ともされるが、今回内定した7875人の研修先は、東京や大阪など人口比で医師数の多い都市部(6都府県)が前年度比1ポイント減の47・7%。その他の41道県は52・3%で、都市部偏在が2004年度の制度導入時程度にやや改善された。

 増員幅が前年度比で大きかったのは、石川の38人増のほか、福井24人、富山21人、兵庫18人、山形17人など。逆に東京が34人、北海道が18人、京都と沖縄が17人減った。

 一方、大学病院とその他医療機関の割合では、大学病院が前年比0・6ポイント増の49・7%となったが、依然、制度導入時の58・8%を大きく下回った。同制度では、新卒医師が研修先を自由に選べるため、都市部の総合病院に人が集まり、大学病院を含む地方の病院人手不足につながったとされる。このため、厚労省は今回から都道府県ごとの定員に上限を設けた。



臨床研修:地方を希望の新人医師微増

 厚生労働省は29日、来春に大学医学部を卒業する新人医師の臨床研修について、都道府県別の採用内定結果を発表した。地方都市と大学病院で研修を受ける割合が前年より小幅ながら増加し、厚労省は「地方の大学病院への医師定着を狙った制度見直しの効果が表れた」とみている。

 臨床研修制度が始まった04年度以降、出身大学を離れて大都市の一般病院での研修を希望する新人医師が増えた。このため地方の大学病院を中心に「臨床研修が地域医療の崩壊を助長している」との声が高まり、厚労省は、来春から人口規模に応じた都道府県別の募集定員を設けるなどした。

 この結果、各病院に採用が内定した7875人のうち、大都市を抱える6都府県(東京、神奈川、愛知、京都、大阪、福岡)以外で研修を受ける新人医師は、前年の4030人(51・3%)から4115人(52・3%)に増加。石川、福井、山形などで研修医数が前年を上回る一方、東京や北海道、京都などで減少した。研修先を大学病院にした割合も49・1%から49・7%に上がり、過去5年で最高になった。

 一方、大都市では募集定員に近い内定があった半面、青森、福島、埼玉、山梨、鳥取、島根の6県は内定が募集定員の半数以下にとどまり、医師偏在の大きな改善には至っていない。

 ■来春の臨床研修医の都道府県別採用内定数(カッコ内は前年度比の増減、▼はマイナス)

北海道  276(▼18)
青森    62(  3)
岩手    74(  0)
宮城   109(▼13)
秋田    65(▼ 8)
山形    82( 17)
福島    72(▼ 1)
茨城   104(▼ 7)
栃木   117(  7)
群馬    77(▼ 7)
埼玉   183(  0)
千葉   289( 13)
東京  1351(▼34)
神奈川  596(▼ 5)
新潟    92(▼ 2)
富山    61( 21)
石川   112( 38)
福井    73( 24)
山梨    49(  1)
長野   125( 14)
岐阜   102(  9)
静岡   158(▼ 3)
愛知   515(  5)
三重    86(▼ 4)
滋賀    67(▼12)
京都   251(▼17)
大阪   601(▼ 3)
兵庫   323( 18)
奈良    80(  8)
和歌山   75(  0)
鳥取    25(▼ 4)
島根    31(▼16)
岡山   152(▼ 3)
広島   151( 12)
山口    82( 13)
徳島    55(▼ 2)
香川    60(  1)
愛媛    57(▼ 8)
高知    46(  6)
福岡   446(▼14)
佐賀    49(▼ 3)
長崎    85( 12)
熊本    96(▼11)
大分    62(  1)
宮崎    38(▼10)
鹿児島   83( 16)
沖縄   130(▼17)

全国  7875( 17)



 大学離れが進むというのはまぁしょうがないことだと思います。市民病院のほうが研修内容として魅力的といえば魅力的ですし、手技等で鍛えられますからね。

 大学病院のほうが最先端に触れられるという点や、疾患に対する考え方が深いという特徴もありますので、人によって好きなほうを選べばいいと思います。

 今年は都市圏の研修医定員を減らしたため、少しだけ都市部は減少し、地方が増えました。あとは、地方の病院郡による「魅力的な研修システムづくり」だと思います。

 研修医のことを考え、尊重する研修医システムを考えられれば、おのずと研修医は増えますし。何も考えなければ、努力不足で、研修医からみて魅力的な病院としてうつるはずがないです。


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posted by さじ at 02:00 | Comment(1) | TrackBack(0) | 大学
この記事へのコメント
研修医の大学離れは着実に進んでいるようです。しかし、問題は5年目以降(後期研修が修了した後)です。都市部の大きな病院のポストは限られています。人気病院で研修はできても残れる人間は一握りです。余った人員はどこに行くのでしょうか。大学がこれらの人員の受け皿になっている可能性は否定できません。
Posted by 医師アルバイト必勝法 at 2010年10月31日 08:55
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