生のレバーや鶏などの刺し身を食べて、食中毒になる人が依然として多い。主な原因は細菌のカンピロバクター。「新鮮な肉なら安全」と思ったら大間違いだ。生肉を食べるときはくれぐれも注意したい。
今月19日、徳島県美馬市内の焼き鳥店で客7人が発熱や下痢など食中毒症状を訴えた。同県生活衛生課で調べたところ、7人のうち3人の便からカンピロバクター菌が検出された。原因は7人が共通して食べた鶏のささみとレバーの刺し身と考えられた。同課は「新鮮な生肉なら大丈夫という勘違いがお客にも店側にもあった」と注意を呼び掛ける。
カンピロバクターは鶏や牛、豚などの腸管にすむ細菌。特に鶏の腸管には常にいる菌(常在菌)で、食中毒の原因として最も多い。カンピロバクターにあたると2〜7日の潜伏期間後に、発熱や下痢、腹痛、吐き気、血便などの症状が出る。死亡することはほとんどないが、食中毒のあとに手足がしびれたり、呼吸困難などを起こすギラン・バレー症候群をまれに発症することもある。
原因となる食品としては生の鶏肉が多い。加熱不足の焼き鳥でも起きる。厚生労働省の調査(08年)によると、市販されている鶏肉の2割前後が汚染されていた。
汚染の背景には、食肉処理場での問題点がある。そもそも食肉処理場では、店や家庭で生の鶏肉が食べられるように衛生管理は行われていない。また、厚労省でも、今日の食肉処理技術で食中毒菌を100%除去することは困難としている。
東京都が今年1〜3月、1000人にアンケートしたところ、直近3カ月以内に鶏の刺し身などの生肉を食べた人は4割、20〜30代になると約5割にも上った。食中毒に関する意識では、「鶏肉がカンピロバクターで汚染されていることがある」のを初めて知った人が約7割もいた。都内の飲食店(112店)へのアンケートでも、約半分の店は鶏肉による食中毒をよく理解していなかった。
東京都の場合、カンピロバクター食中毒にあう患者の約7割は20〜30代で、入院するほどの重症になる患者の多くは子供だった。
都健康安全課は「牛と鶏肉は、そもそも生食向けに流通していない。抵抗力の弱い子供は特に危険」との内容を盛り込んだ家庭向けリーフレットを近く作成し、保育園などに配る。
カンピロバクターは75度以上の加熱で死滅するため、できるだけ加熱して食べるのがよい。
食中毒問題に詳しい伊藤武・麻布大客員教授(細菌学)は「子供や高齢者は生肉を食べない方が無難だ。台所では肉を切った包丁が汚染されていることがあるので、食材ごとに包丁やまな板、手をよく洗うことが必要だ」とアドバイスしている。
ノロウイルスもそろそろ感染者が増加してくる時期ですね。
食中毒の予防のポイントは、食べる直前にちゃんと加熱することと、しっかりと冷蔵保存することです。カンピロバクターのような感染型の食中毒ならば、生焼けの防止を徹底することで大幅に感染を減らすことが出来ると思います。