細菌が感染したアブラナ科の植物が、細胞の一部を犠牲にして病原体と“心中”する防御のメカニズムを、京都大学大学院理学研究科の西村いくこ教授(植物分子細胞生物学)らの研究チームが世界で初めて突き止め、研究成果が15日付の米科学誌「ジーンズ・アンド・ディベロップメント」(電子版)に掲載された。
西村教授によると、病害虫による作物の被害は、世界の全農作物損失の約3割に及ぶといい、西村教授は「農薬に頼らずに植物の自己防衛能力で病害虫対策を強化する研究への応用が期待できる」としている。
研究チームは、アブラナ科の植物、シロイヌナズナの葉の一部に、植物を枯らす「トマト斑葉細菌」を感染させ、電子顕微鏡で細胞の変化を観察した。
その結果、感染3時間後には、抗菌タンパク質を多量に含む細胞内部の液胞の膜が、細菌に感染された外側の細胞の膜とくっつく一方、液胞膜に幅約0・1ミクロンの穴が無数に空き、細胞にいる細菌を抗菌タンパク質で直接攻撃していることが判明。12時間後には液胞の中身がすべて放出され、細菌が死滅する一方、細胞自体も死んでいた。
さらに、細菌に感染された細胞が、別の制御タンパク質の力を借りて、自発的に液胞膜を融合させたり穴を空けることがわかった。
西村教授は「今回の結果を、農作物に対して最も強敵となるカビへの防御法の検証に生かすとともに、別種の植物についても実験を進めたい」としている。
生物でいうところの、パーフォリンとグランザイムみたいな作用が植物でも起こっているようです。
やっぱり植物も生きているんですねぇ。