改正臓器移植法の「親族への優先提供」規定の施行に向け、厚生労働省は10月16日、「臓器提供に係る意思表示・小児からの臓器提供等に関する作業班」(班長=新美育文・明大法学部教授)の第2回会合を開いた。この日の議論では、特定の親族に対する臓器提供の意思が示された場合に、その意思をどう扱うかが焦点となった。
前回の会合で「親族への優先提供」規定について示された検討課題は、▽表示方法▽表示内容▽親族の範囲▽親族の確認方法―の4点。このうち、表示内容と親族の範囲について意見交換が行われた。
表示内容については、主に特定の親族に提供するとの意思が示された場合の取り扱いについて議論が行われた。神戸大大学院法学研究科教授の丸山英二班員は、ドナー本人の意思を生かすために、「特定の人が名指しされていたら、その人を優先すべき」と主張。一方で、上智大法学研究科教授の町野朔班員は、特定の親族が指定されていた場合、「一般的な親族優先提供の意思表示」があったと解釈すべきと述べた。また、東北大大学院法学研究科教授の水野紀子班員は、「死者の意思」は「偽造」が行われる可能性があるとして、特定の人の名指しを行うべきでないと強調した。
このほか、優先提供が認められる親族の範囲については、国会審議で改正法の提出者が答弁した「親子と配偶者」に限定すべきとの意見が多数を占めたが、兄弟姉妹に対する優先提供が認められない点については合理的な理由が必要との指摘もあり、結論は次回以降に持ち越しとなった。
次回の会合では、親族の確認方法についての議論が進められるほか、これまでの検討内容を踏まえた論点整理などを行う予定。
いまいちこの親族優先という案の存在が分からないんですが。これってこういう案を設けておけば、今よりは楽に脳死臓器移植を受け入れられるだろうっていうことなんですかね?
あまり実用性のなさそうなアレではあるような気がしますけれども…。
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