火炎を思わせる真っ赤な色をした猛毒キノコ「カエンタケ」が京都など関西地方の山林で急増しているとして、大阪市立自然史博物館の佐久間大輔学芸員ら専門家が本格的な調査に乗り出した。
カシノナガキクイムシによる病原菌の伝播で起こる「ナラ枯れ」の発生地域に多く見られるといい、目撃情報を集めて因果関係を検証する。また、ハイキングコースでの目撃情報もあり、秋の行楽シーズンを迎え、食べたり触れたりしないよう呼びかけを強めている。
カエンタケによる中毒死は新潟県で99年、国内初確認。00年には群馬、山形の両県でも中毒事例があり、この3県を中心に見つかっていた。
ところが、佐久間学芸員らによると、京都や大阪でもここ数年、目撃情報が続出。特に、枯れたミズナラやコナラの根元での発見例が目立ち、80年代末から日本海側を中心に広がったナラ類の集団枯死「ナラ枯れ」の地域と分布がほぼ重なることが分かった。
京都府内では今年6月、京都市左京区の森林でナラ枯れの林の整備をしていた男性(68)がコナラの切り株に生えているのを発見。近畿で40年間キノコ観察を続ける高山栄さん(72)も「以前は5年に1度見るくらいだったが、ここ2〜3年は福井県や京都市内などで次々と目撃情報を聞く」と警戒する。
佐久間学芸員はカシノナガキクイムシが病原菌と一緒にカエンタケの胞子も運んでいる可能性を指摘。富山県中央植物園の橋屋誠主任と共同で、日本菌学会のニュースレターで情報提供を求めている。
ニクザキン科の棒状のきのこ。地面や切り株、枯れた樹木の幹に生育する。たんぱく合成など体内の働きを阻害する毒素「トリコテセン系マイコトキシン」を含有。触れただけで皮膚がかぶれたり、わずか2センチの摂食で死亡したりする例が報告されている。
きのこは、知識さえあれば食べるはずがないものですが・・・野生きのこの美味しさゆえか、毒きのこ摂取は減りませんねぇ。
きのこのプロに判断してもらうのが一番ですけどね。妙なキノコをみつけたら、食べないように。
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