スウェーデンのカロリンスカ研究所学は5日、今年のノーベル医学・生理学賞を、染色体の保護に関する発見をした米国のエリザベス・H・ブラックバーン、キャロル・W・グレイダー、ジャック・W・ショスタクの3氏に贈ると発表した。
授賞理由は、「テロメアとテロメラーゼによる染色体保護機構の発見」。3氏は、細胞分裂時に染色体がどのようにコピーされ、分解されずに保護されていたかを解明した。
遺伝情報が含まれる染色体の末端には、染色体を保護する役目を持つ「テロメア」という構造がある。この部分は細胞分裂のたびに長さが短くなり、ある限界を超えて短くなると染色体が不安定になる。しかし、酵素「テロメラーゼ」によりテロメアの修復が行われる。
カリフォルニア大学サンフランシスコ校のブラックバーン教授とマサチューセッツ総合病院のショスタク教授は、テロメアのDNA配列を発見。また、ブラックバーン教授と米ジョンズ・ホプキンス大学のグレイダー教授は、テロメアを修復する酵素「テロメラーゼ」を単離、同定した。
細胞が「高齢化」すれば、染色体のテロメアが短くなる。逆に、テロメラーゼの働きが活発でテロメアが修復され続けば、細胞の老化を遅らせることができる。この現象は、分裂し続けるがん細胞にも大きく関係している。3氏の研究は、細胞分裂のメカニズムを解明し、がんをはじめとするさまざまな疾病の治療に寄与したことから、授賞対象となった。
日本人は惜しくも、漏れてしまいましたが、今年の受賞はテロメアとテロメラーゼの構造解明によるものということです。
おめでとうございます!!
しかし、10年後ぐらいになるとはいえ、誰が受賞するか分からないものですなぁ。京大の山中教授はほぼ確実といわれていますが、その受賞もおそらく10年以上後になるでしょうね。
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【モスクワ共同】ロシアのメディアは5日、米国の3氏に今年のノーベル医学生理学賞が贈られることが決まった染色体のテロメア構造の解明は、
ロシアの研究者アレクセイ・オロブニコフ氏がソ連時代の1971年に既に理論として指摘しており、同氏にも同賞が授与されるべきだとのロシアの
学者の声を伝えた。
モスクワ大学生物工学部のスクラチョフ学部長はロシア通信に対し、テロメアの長さが細胞の老化に関係しているとの理論を最初に発表したのは
オロブニコフ氏であり、今年の受賞が決まったブラックバーン米カリフォルニア大サンフランシスコ校教授らはそれを実証したにすぎないと主張。
オロブニコフ氏に授与されないのは「極めて不公平だ」と述べた。
オロブニコフ氏は現在、ロシア科学アカデミー生物化学物理研究所の主任研究員。同通信の取材に対し「ノーコメント」と答えたという。(13:01)
http://www.nikkei.co.jp/news/shakai/20091006STXKC008206102009.html