生まれた直後から赤ちゃんを母親の胸に抱かせる「カンガルーケア」(KC)を実施したところ、新生児の呼吸が止まるなどしたケースが全国で16例あったことが、27日に東京都内で開かれた日本母乳哺育学会学術集会で報告された。その後も増えているといい、報告者の渡部晋一・倉敷中央病院総合周産期母子医療センター長は、赤ちゃんの状態をきちんと観察するなどの実施基準を明確にすべきだと注意喚起した。
KCは、母乳育児促進に有用とされ、広く行われている。新生児医療の専門医のグループが昨年全国205の病院を調査。16例のうち1人が死亡、4人が植物状態という。渡部センター長はうち3例について説明。KC中に赤ちゃんの呼吸が止まるなどしているところを発見されたが、いずれも赤ちゃんの状態が観察されておらず、事前説明も母親には行われていなかったという。「KCは推進したい。だが、どう実施するかだ」と話した。
長野県立こども病院の中村友彦・総合周産期母子医療センター長も「(正常出産でも)出生直後は呼吸循環状況が危機的な状況となる可能性が高いことを認識して実施すべきだ」と強調した。
母子のその後の育児のためにも有用とされているのが、このカンガルーケアです。生まれてからすぐに、お母さんと赤ちゃんをくっつけてあげるというものですが。実際に効果はかなり高いと思います。
ただ、生まれたての赤ちゃんの状態にもよりますよね。無事生まれた、と喜ぶだけでなく、医療従事者は赤ちゃんの呼吸にも注意を払いつつ、カンガルーケアを実施すべきでしょう。リスクとしてはそんなに高いものではないと思いますし、カンガルーケアの効果の大きさを考えると広く普及させていきたいところです。
関連
医学処:母乳を与えた女性は、心臓発作などの心血管障害の危険性が減る
医学処:遺伝子操作したマウスの乳から、人間の母乳を作る。
医学処:助産師による自宅出産は病院と同じくらい安全。