帯広畜産大学原虫病研究センターの嘉糠洋陸教授(36)らの研究グループは、病原体に感染しても症状が現れない状態「不顕性感染」のメカニズムを昆虫実験で解明した。
宿主の「貪食細胞」が病原体を囲い込む現象を発見、この作用を及ぼすのは「p38b」というタンパク質であることを突き止めた。肺結核やエイズなど発症まで潜伏期間がある病気の治療法開発に役立つ成果と期待される。
嘉糠教授によると、ショウジョウバエを使ったサルモネラ菌の感染実験を行った結果、同菌に対する不顕性感染状態を引き起こすタンパク質「p38b」を確定することに成功。「p38b」が働くと、免疫系細胞の一種である貪食細胞は同菌を生きたまま囲い込んで隔離することを確認。このため無症状なのに体内で菌が生き続ける状態となる。「貪食性囲い込み」と名付けた。
嘉糠教授は「p38bの働きを低下させる薬があれば、体内に潜む病原体をあぶり出し、早めに治療ができる」と話している。
この研究成果は、17日付で米国科学雑誌の電子版に載った。
へー。マクロファージの隔離作用が不顕性感染に繋がっているんですね。
感染症として発症せずとも、菌やウイルスに感染している状態というのはあります。こういう状態の菌すらも治療することができれば、今よりももっと予後が良くなるでしょうね。