2009年09月21日

成人T細胞白血病ウイルスについて症状と治療を知ろう。

成人T細胞白血病ウイルス 白血球に感染し白血病や脊髄症に。治療法は。

 浅野史郎・前宮城県知事が発症して関心が高まった成人T細胞白血病(ATL)。成人T細胞白血病ウイルス(HTLV−1)が白血球に感染して発症する。ウイルスは歩行障害などを伴う脊髄症(HAM)も引き起こす。根本的な治療法はないが、「ミニ移植」と呼ばれる方法が注目されている。

 厚生労働省研究班は献血者約120万人を調べ、08年度に感染者を約108万人と推計した。90年度に推計した約120万人に比べ、1割減少した。一方、地域別では前回、感染者の約51%を占めていた九州と沖縄が約40%に減少し、関東、近畿の割合が増えた。調査した同研究班長の山口一成・国立感染症研究所客員研究員は「感染者の人口移動などが原因」とみている。

 ウイルスは母乳を通じて感染するケースが多い。感染した母親が生後6カ月以上、授乳を続けると約2割の子供に感染するという報告がある。

 現在、感染者の多い鹿児島、長崎、宮崎などでは妊婦を対象にウイルスの有無を調べる検査を行っているが、全国には広まっていない。感染が分かった場合、鹿児島県は「母乳は生後3カ月まで」、長崎県は「母乳は与えない」と指導、対応は分かれている。山口さんは「献血者で感染が分かれば、本人に知らせている。妊婦を対象にした全国的な検査が必要」と話す。

 ウイルスをもっていても発症する率は約3〜5%。50歳を超えて発症する場合が多く、年間約1000人が死亡している。通常の抗がん剤治療も行われているが、骨髄移植も広がっている。

 通常、骨髄移植は患者の骨髄機能を抗がん剤や放射線で破壊し、白血球の型が一致するドナーの骨髄細胞を注入する。だが、これだと白血球がゼロに近い状態が2〜3週間続き、患者への負担が大きい。

 骨髄移植で実績をあげる今村病院分院(鹿児島市)では、骨髄移植や臍帯血移植など造血幹細胞移植を98年から約30例実施した。術後の1年生存率は約6割と高いが、宇都宮與・同分院長は「体力のある55歳前後までしか適用できない」と話す。

 そこで注目されているのがミニ移植。患者の骨髄機能を残したまま、ドナーの末梢血から白血球や造血幹細胞などを取り出し、患者に注入する。発疹など拒絶反応も起きるが、免疫抑制剤を使って防ぐ。これまで12例実施した宇都宮さんは「手術後、8年間良好な人もいるが、6カ月生存率は約5割。ウイルスで起きるC型肝炎やエイズに比べ、治療、研究とも政府の支援が少な過ぎる」と訴える。

 ウイルスは脊髄症の原因にもなる。歩行困難、排尿障害、手足の痛み、しびれなど日常生活は極めて深刻だ。患者は全国に約1400人いる。

 「日本からHTLVウイルスをなくす会」(099・800・3112)と「全国HAM患者友の会」の代表を務める鹿児島市の菅付加代子さん(52)は、病気やウイルスなどを分かりやすく解説した「教えて!HTLV−1のこと」(同なくす会発行)を出し、治療や研究への助成を国に求めている。

 菅付さんは33歳で発症。5年前、友の会を結成し、難病指定を求めてきた結果、昨年6月、調査研究の推進を促す難治性疾患(130疾患)の一つに指定された。だが、公的な医療費助成のある45疾患には含まれていない。



 九州を代表する疾患、HTLVウイルス感染症です。しかし人が移動すれば当然それは九州独自のものではなく、本州といえども安心できなくなってきました。こういうウイルス感染症もあるんだ、ということを知っておいて下さい。
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posted by さじ at 08:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | 感染
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