2009年09月20日

きまぐれオレンジロードの作者まつもと泉さん、脳脊髄液減少症だった

病と生きる 漫画家・まつもと泉さん(50)

 80年代に一世風靡した漫画「きまぐれオレンジ★ロード」の作者、まつもと泉さん(50)は新連載を控えた平成11年、頭痛や吐き気などの症状を訴え、仕事をストップした。5年後に「脳脊髄液減少症」だったことが分かるが、病名が分かるまでの道のりは険しかった。病気を克服した今、患者への理解を深めてもらおうと自らの闘病をテーマにした漫画の制作を進めている。

 10年前、新連載を始めようというときに体調が悪くなり、首とか頭、上半身がギューンと締め付けられるような痛みがやってきました。

 整形外科、心療内科、歯科などを転々としました。僕は歯の噛み合わせが原因だと思っていたし、家族は精神的なものというわけですよ。体力をつけようと、ジョギングをして動き回ったことも。健康になると思ったのに、頭痛で立っていられない状態になりました。入院もしたんですが、退院するまで3日間くらい眠れなかった。あまりに体調が悪いんで、連載は無期限延長になりました。

 1、2年後には、通院もあきらめた。疲れ果て、家の中で引きこもり状態に。テレビを見ても、家族が笑っているのに僕は全然笑えなくて。

 今はこうして笑って言えるんですけど、そのころは人に会うのも辛かった。でも、自分のサイトの掲示板でファンの方が心配してくれ、励ましの言葉を書いてくれた。こちらは辛くて書き込めないんだけれど、それが本当に救いで、自分と外の人をつなげる唯一のツールでした。

 16年、姉が「脳脊髄液減少症」を紹介した新聞記事を僕に見せてくれた。あまりにおどろおどろしい病名で、自分の症状とは結びつかなくて。でも書かれていた症状は自分と同じだった。ダメもとで山王病院(東京都港区)の脳神経外科に行ったんです。

 検査を受けたら、髄液漏れが見つかりました。僕は4歳のころ、交通事故に遭った。患者の過半数は交通事故が原因でなるといわれています。もともと体調は崩しやすかったんですけれど、過労や年齢で症状が出てきたんでしょう。

 治療はブラッドパッチといって、静脈から抜いた自分の血を髄液が漏れている個所に注入し、血のりで穴をふさぐ。血はやがて吸収されるんですが、体が血に反応して組織を再生させていくんです。

 1回で治る人もいれば、何度やっても治らない人もいます。僕は4回で、ほぼ病気になる前の状態に戻りました。ウロコが剥がれていくように苦痛の皮が剥がれていって、そういえばあそこもここも気にならなくなってきたな、という具合です。

 死に至る病気ではないんですが、死んだ方がマシと思わせる。変な病名を付けられ、膨大なお金や時間を使う人もいます。加害者や保険会社からは、ゆすっているとか怠けていると思われる。病気の苦痛と病気を理解してもらえない苦痛。今は検査で分かりますが、前は理解してもらえないことが一番苦しかったのではと思います。

 応援してくれたファンや患者さん、出版社に恩返しをするため、今、闘病記を描いています。今までは読者を楽しませるということでしか漫画を作ってこなかったんですけれど、今度は自分に起きたことを描く。僕はたまたま漫画家だったので、漫画で訴えるべきだと思ったんです。

 苦しんでいる患者に少しでも光になればいいし、この病気のことを多くの人に知ってもらいたい。特にドライバーにはうかつに事故を起こしてもらいたくない。やがては治るかもしれないけれど、その人の大事な時間やいろんなものを奪ってしまうわけですから。事故を起こさないことがこの病気に対する何よりの治療なんです。



 名作、きまぐれオレンジロードの作者が脳脊髄液減少症だったとは。

 最近になって、脳脊髄液減少症も結構取り上げられるようになり、一般的に認知されはじめました。硬膜外ブラッドパッチも有効な治療法として知られ始めましたから、診断さえつけば治療もできるようになりました。

 交通事故などの後でこのような症状が出た人、お近くの病院へ。

関連
医学処:交通事故の衝撃で髄液が減ると脳脊髄液減少症になる。
医学処:子供の脳脊髄液減少症に対する知識と理解を身につける
医学処:脳脊髄液減少症の研究が加速。適正治療法解明なるか
医学処:脳脊髄液減少症の、診断と治療のガイドラインが作成される
医学処:脳脊髄液減少症の診断基準などを厚生労働省がまとめる。
医学処:脳脊髄液減少症の治療や研究促進を求める声について
医学処:脳脊髄液減少症の治療可能な病院名をリストアップ
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posted by さじ at 02:05 | Comment(4) | TrackBack(0) | 脳神
この記事へのコメント
初めまして こんにちは 私は茨城県に住む四十代の女性です。今朝初めて まつもとさんの病気の事をを知りました。私も五年前位から有名な病院で膠原病と診断されました。病院には月に一度通って居たのでしが…四年前頃から頭のこめかみ頭の前頭部、首、胸の周りが痛くて足も歩けない身体の置場所無いくらい痛みで寝たきりに状態が四五ヶ月続き最終的には精神科に廻されたのですがそこでいくらかは…楽になったのです。その後もやはり毎年三四ヶ月は寝たきり状態が続いいます。先月迄原因が判らない状態なので五年通っていた病院を変えて大学病院に移ったのですがそこでも血液検査は異常が無いとこないだ言われました。症状は日に日に悪化しているのが自分でわかるのです。でもどこの病院に行って異常無しと言われてる状態なので自分どうしていいかも判らず今に至ります。私も十四歳の頃車の後部座席に乗ってて車内から飛ばされ道路に投げ出され全身打撲傷になったことがありました。今日テレビを見なければ解らなかった事だったと思います。ブログも読ませていただきました。これは病気になった人、外傷があって血液で判るような病気だったらどんなに楽でしょうね。私は子供が居るのでその為に病気に負ける訳にはいきません。まつもとさんも闘病生活していた分頑張ってオレンジロード書いて下さいね。
Posted by 大川幸子 at 2010年01月10日 11:49
初めましてm(__)m
30代後半の女性です。
先日、ここを友人の元?漫画家に教えてもらいました。
20代から自律神経失調症になり心療内科の大量な薬漬け、、、パニック障害、、、鬱、、、。

階段から落ちた事もありまして、脳神経外科やら整形外科でMRIの検査や、東洋医学にも多々お世話になり。

病院を替え、やっと自力で安定剤を抜き、前向きに生きていこう!と思っていた矢先、、、前々から血液は足りているのに脳貧血で倒れる、頸椎が原因と、整体師さんにかかるも、途中おかしくされ、のたうちまわる激痛に心神喪失。。
数ヶ月、今年2月にいい整体の先生に回り逢い、回復していた。と思われてましたが。

ここ最近です。脳脊髄液減少症ではないか?との整体の先生の話。聞いたこともない病名でした。
昨年から続く微熱の精密検査も異常無しで、辛い目でパソコン検索し、自分の今の症状が一致しているのが解り、明日札幌のある病院へ行きます。

本当に「もう、、、嫌だ、、、」と人生投げ出したくなるほどの痛みと苦しみで、、、、

誰にも理解されぬ苦痛は、精神的な病気「鬱」の時と比べられる思考もない今です。

何度も死を試みながら生かされている今、なんとかなるさ!なんとかしないと!今まで苦しみの中生きてきた意味は何???と涙する事もしばし。
飲んではダメな酒も少し飲みつつ。。。

頑張ります!
なんとか、、、する!幸せになる為に生まれてきたのだから。。。
痛くて苦しいですね。
私はあまり漫画を読まないのですが(すみません)先生も頑張ってください!
私も頑張ります!


Posted by 月子 at 2010年05月12日 00:47
気まぐれオレンジロードは、中学生位に良く読んでいて、楽しいマンガを書いていただきありがとうございました。
今は聴覚過敏が苦しんでますが、学生の頃は頭痛がたびたびありました。
あと水分が足りないと立つのも辛く、ふらつきました。もしかしたらこの脳脊髄液減少症が原因かもしれません。今度病院に検査しに行こうと思います。
何か運命的な物を感じました。
Posted by コウジ at 2012年05月02日 16:26
お久しぶりです
連絡の番号が判らなくなってしまいました
連絡メール待っています
   松葉太郎
Posted by 日高太郎 at 2013年06月22日 12:31
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