2009年09月14日

「チャート式数学」の完全点訳に筑波技術大が成功する。

「チャート式数学」完全点訳 筑波技術大、無料提供へ

 市販されている中高生用の数学参考書の完全な点訳を、筑波技術大学(茨城県つくば市)の長岡英司教授(情報処理教育)らのグループが完成させた。全部で290巻、約2万2千ページに上る。これまで点字化が難しかったグラフや図も掲載しているのが特徴。数学参考書の完全な点訳は例がないという。

 近く希望者に無料で提供を始める。視覚障害を乗り越えて進学を目指す中高生の大きな後押しになりそうだ。

 点訳したのは、中高生がよく使う「チャート式数学」(数研出版)。各学年版の計6冊を、長岡教授と首都圏の六つのボランティア点訳グループ約90人がほぼ1年がかりで点訳した。

 同大は視覚、聴覚障害者のための国立大学で、「数学を苦手に入学してくる学生が多い」(長岡教授)ことから、作成を思いついたという。

 長岡教授によると、理数系の文書を点訳する場合、グラフや図形が問題になる。立体図形や関数グラフなど複雑な図を、大きさの異なる3種類の点を使って指で触れて読み取れるように表現しなければならない。文章だけの翻訳と異なり、6グループが同じルールで図や数式を点訳しないと、利用者が混乱する恐れがあったため、研修を繰り返しながら、点の間隔を変えて指が感じる刺激を調節したり、図をうまく簡略化したりして作業を進めた。

 厚生労働省によると、18歳未満で視覚障害のある人は全国で約4900人(06年)。一般の学校で学ぶ生徒もおり、完全な数学参考書が待たれていた。長岡教授は「大学進学を目指す中高生だけでなく、数学力を高めたい大学生や社会人にも広く活用されることを願っている」と話す。

 同大は完成した点字版参考書を希望者に無料で提供する。電子データでも配布し、点字用プリンターがあれば出力が可能だという。問い合わせは電子メールで、同大視覚障害系支援課の小野瀬正美(おのせ・まさみ)係長(onose@k.tsukuba-tech.ac.jp)へ。



 成る程。確かに視覚障害がある人は数学に触れることが健常者より少ないのかもしれませんね。幼い頃からそうであると、数学が不得意になるのもうなづけますし、ひいては数学的思考といいますか、論理力の問題にもなってくるのかもしれません。

 そう考えると、この作業は凄い。偉大なる業績です。点字でグラフを表現し、それを中高生が触れることで理解することができる、というのはなかなか難しかったことでしょう。

 今ちょっと思ったんですけど、数学って、方程式を解くためには、解法を紙に書き連ねますよね。それを目でみているわけです。視覚障害者はその領域を頭で行っているんでしょうか?だとしたらかなり凄いです。私なんか、2桁の掛け算すら頭で出来ないですし、3桁の足し算の繰り上がりとかも無理です。

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posted by さじ at 03:18 | Comment(0) | TrackBack(0) | 眼科
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